2012年のUCIロード世界選手権は、久々に催されるチームタイムトライアルで開幕します。
そこで、まずは男子エリートのチームタイムトライアルを予習してみたいと思います。
レースをチェックするうえで、参考にしていただけると幸いです。
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UCIロード世界選手権・男子エリート チームタイムトライアル(Sittard~Valkenburg、53.2km)-9月16日
かつては国別で争われていたチームタイムトライアルですが、復活した今回からはUCI登録のチームごとの戦いとなります。
それも含め、以下が主なレギュレーションとなっています。
・トレードチーム(UCI登録チーム)によるレース(以前開催時は国別対抗)
・出走は1チーム6名(予備エントリー9名)
・ゴールタイムはチーム4人目の通過タイムを採用
・出場は33チーム(出場権を得た50チーム中17チームがエントリーせず)
・優勝チームは2013年シーズンにおいて、TTT特別ロゴ入りのジャージを着用(出場選手だけでなく、チーム全体でロゴを共有。優勝チームから他チームへ移籍する選手はロゴが入らず。ロゴ入りジャージは、TTTだけでなくRRやITTでも着用)
・優勝チームへのマイヨ・アルカンシェルは不採用(優勝チームは上記条件に)
・上位10位に入ったプロチームにはUCIワールドツアーポイント授与(200,170,140,130,120,110,100,90,80,70)
・上位20位に入ったプロコンチネンタルチームとコンチネンタルチームは、UCIコンチネンタルポイント授与(200,170,140,130,120,110,100,90,80,70,60,50,40,30,20,15,10,8,5,3)
・上位5チームには賞金を授与(40000,25000,20000,10000,5000)※通貨はスイスフラン
・UCIプロチームは出場義務あり?(これはガセネタの可能性も・笑)
【コース分析】
1チーム6選手で53.2kmを回すというのは、グランツールのTTTのイメージから考えると非常に難しいと言えるでしょう。
また、今回のコースは3ヶ所の大きな登坂ポイントがあり、各選手の登坂力も試されることに。
登坂ポイントは以下の通り。
1. Lange Raarberg 1300m 4.5%
2.Bergseweg 2700m 3.3%
3.Cauberg 12oom 5.8%
スタートして10kmも行くと最初の上りが控えており、ボディーブローのように効いてくることと思われます。
そして、スタートから約20kmで迎える1つ目の大きな登坂ポイント・Lange Raarbergで、力の劣るチームは隊列が乱れることもありそう。
特に上ってからすぐに下るわけではないため、脚の回復に充てる間が無いのが選手にとってはペース配分の難しさを感じることでしょう。
スタートから40kmを前に登場するBergsewegは、距離こそ長めとはいえ勾配は3つの登坂ポイントの中では緩め。
ここを乗り越えれば、約10km下り基調になることから、なんとしても耐えたい局面。
ゴール直前に現れるおなじみのCauberg。
アムステル・ゴールドレースでもゴール前で選手間に大きな差が付く場所だけに、50km以上ハイペースで回してきた選手たちにとっては大いに苦しめられることに。
ゴールを前に各チーム隊列を整えるのに苦心することになりそう。
ゴールタイムとなる4人目の選手が脱落するようだと、そのチームは優勝戦線から遅れることを覚悟せねばなりません。
53.2kmの距離を平均時速50km/hで走れば、1時間03~04分でのゴールに。
恐らく、1時間そこそこのゴールタイムが優勝記録になるのではないかと思われます。
【スタートリスト】
※時間は現地時間。日本時間は現地時間+7時間
13:30 MTN・キューベッカ
13:34 カハ・ルーラル
13:38 アドリア・モービル
13:42 CCCポルサット・ポルコワイチェ
13:46 イテラ・カチューシャ
13:50 オプタム・プレゼンテッドバイ・ケリーベネフィットストラテジーズ
13:54 ソール・ソジャサン
13:58 ラボバンク・コンチネンタル
14:02 コフィディス
14:06 アックア・エ・サポーネ
14:10 チームタイプ1
14:14 トップスポルトフランデレン・メルカトール
14:18 エウスカルテル・エウスカディ
14:22 アージェードゥーゼル・ラモンディール
14:26 FDJ・ビッグマット
14:30 ルスヴェロ
14:34 アルゴス・シマノ
14:38 ランプレ・ISD
14:42 ロット・ベリソル
14:46 リクイガス・キャノンデール
14:50 アスタナ
14:54 ヴァカンソレイユ・DCM
14:58 サクソバンク・ティンコフバンク
15:02 モビスター
15:06 カチューシャ
15:10 ラボバンク
15:14 レディオシャック・ニッサン
15:18 ガーミン・シャープ
15:22 オメガファルマ・クイックステップ
15:26 BMCレーシングチーム
15:30 オリカ・グリーンエッジ
15:34 SKY
【注目チーム】
出走者一覧は別エントリーにてアップしております。
なお、出場全33チーム中、チーム発表があったもの、または専門サイトなどの情報から判明したチームのみを随時掲載しておりますこと、ご了承ください。
UCIロード世界選手権・男子エリート チームタイムトライアル出走者一覧
優勝争いは、やはりプロチーム勢が中心となるでしょう。
シーズンを通してTTTに強さを見せたのは、グリーンエッジ、SKY、ガーミンといったところ。
グリーンエッジは、おなじみのTTスペシャリストにクラシックハンターのランゲフェルドを加えた布陣。
ポイントとなるのは、シーズン途中に合流したロンドンオリンピックのチームパシュート銅メダリスト・ビューリーと、まさに今大会のTTT要員ともいえるマリウスの存在。
トラックでは抜群のスピードを持つ2人が、大一番でどれだけ力を発揮するかに注目。
SKYはスーパーエースのウィギンス、フルームを外すも、贅沢なメンバー構成。
ここ最近はTTに注力していなかったボアッソン・ハーゲンが、再び圧倒的スピードをアピールするか。
個人種目のメンバーからは外れたトーマスは、この1レースに賭けます。
また、クライマーのエナオを抜擢している点が戦力にどう影響するか。
ガーミンは出走6名が前日時点で判明していないものの、ミラーやナヴァルダスカス、バウアーといったスペシャリストはメンバー入りしてきそう。
特に、今シーズンのチーム構成をこのTTTをベースに考えていたとも言われるだけに、勝利が至上命題となっているチームの1つ。
TTTの伝統的な強さをアピールしたい。
その他、メンバーが揃っているのはBMC、Ωクイックあたりか。
BMCは、プロトン中で上位クラスのTT能力を持つ6選手で構成。
個々のスピードには長けている分、課題となるのが選手間のローテーションやペース配分。
グランツールのTTTで目立ったミスを出さないことが重要。
ΩクイックはITTでの2連覇を目指すマルティンが中心。
TTTとITTに力を注ぐ姿勢のシャヴァネルや、ベルギーTTチャンピオンのファンデワーレにもかかる期待は大きいと言えるでしょう。
そして、今シーズン後半はこの世界選手権に賭けてきたボーネンも、このTTTで流れを作りたい。
全体的にバランスが取れた布陣のレディオシャック、コンタドールが中心のサクソティンコフ、ラーションやウェストラといった国内チャンピオンがメンバー入りのヴァカンソレイユも上位進出の可能性がありそうです。
有力チームは、純粋なTTスペシャリストばかりでなく、ある程度登坂力のある選手を入れてきている印象です。
【優勝予想】
戦力の充実度のほか、個人的な希望的観測も込みで予想をすると、
★★★
オメガファルマ・クイックステップ
★★
SKY、オリカ・グリーンエッジ
★
BMCレーシングチーム、レディオシャック・ニッサン、ラボバンク
と見ています。
注目チームにラボバンクを挙げませんでしたが、実際のところボームやLLサンチェスを中心にまとまりがあって、地元の利を活かして上位に来るかもと思っていたり。
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UCIオフィシャルサイト内世界選手権ページ
http://www.uci.ch/templates/UCI/UCI3/layout.asp?MenuId=MTYzNDI&LangId=1
UCIロード世界選手権オフィシャルサイト
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