近場でライドイベントがあるたびに、開催日に先約が入ってしまっている関係でなかなか参加できずにいた私だが、「自転車王国とくしまライド in 鳴門(鳴門ライド)」が開催されると聞いた時に“何か”感じるものがあった。
その“何か”は即座に分かるものではなく、あくまでもフィーリング的な要素が強かったので、ひとまず参戦を決め、後に何かが起こることに期待することにした。
前日に予定が入る空気があったが、11月18日は意地でも他の事柄をスケジュールに入れないことを心に決めた。
申し込みから1ヶ月くらいたった頃だろうか、自分でも分からずにいた“何か”を知ることになる。
参加者宛ての案内を見ると、マウンテンバイク男女の日本チャンピオンでロンドンオリンピック出場の、山本幸平選手と片山梨絵さんがゲスト参加するという。
すぐに“何か”は「これだ!」と判明した。
元々、スペシャライズドのアドバイザーである竹谷賢二さんがいらっしゃることは知っていたが、幸平くんと梨絵さんまでもが参戦するとは驚きであった。
何なら前日イベントから登場すると。
正直なところ、締切ギリギリまで前日イベントの申し込みを検討したが、当初の予定自体が私がいないことによって私はおろか、他の人の顔に泥を塗ることになってしまうほど重要な事柄だったため諦めることにした。
それにしても、鳴門ライド開催の中心に立っていたナカニシサイクル大佐・ナカニシ氏が持つその力と人望は、さすがとしか言いようがない。
もっと言うと、これは当日現場へ行って知るのだが、スペシャライズドの副社長や日本法人の社長まで呼んでしまうほどなのだ。
実はこの“何か”には続きがあって、本当は前日イベントに先立って“シークレットイベント”に呼んでいただいていた。
もうここに書く時点でシークレットでも何でもないのだが、まぁもう良いだろう。
何かというと、前日イベントにはそれぞれ昼の講習会と夜の前夜祭とがあったのだが、シークレットイベントはこの日の早朝にゲストライダーや自転車専門誌の取材班との眉山ヒルクライムのトライアルが企画されていたらしい。
ごくごく少数で、身近な人たちのみで行うお遊びではあるが、一部参加者の間では翌日に控える本番よりもこちらに注力する気満々だったという話。
実際、どんなメンバーで、どんな内容で行われるのかは把握しきれていなかったのだが、呼ばれた以上は勝つつもりで数日間は最終調整までしたほどだ、もちろん我流で。
しかしだ、予報通りの雨で案の定中止。
気合いが入っている時に限って思うようにいかない。
そんな星の下に生まれたのだろう。
こどもの時からそうだ、楽しみにしているものほど天気で予定を崩されたり、体調を崩して参加できなかったり。
ぶっちゃけこの手の流れには慣れっこである。
ゲストライダーや参加者との交流ができなかったのだけは本当に残念でならない。
とはいえ、イベントスタッフの計らいもあり、前日までの間に幸平くんと私の顔合わせのセッティングは完了状態にあった。
何なら、かねてからTwitterやFacebookでやり取りさせてもらっていた経緯もあり、事はすんなり運んでいた。
また、同郷であることも後押ししていた。
とりあえず午前8時前には会場内のスペシャライズドブースへ顔を出すよう言われ、当日を迎えることとなる。
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会場へは自走。
シークレットイベントのための調整が上手くいっていたらしく、早朝からすこぶる身体の調子が良い。
それだけに雨がもったいなかった。
良いアップライドができ、会場入り。
会場入りするなり後輪がパンクするトラブルが発生。
原因は恐らく、段差でジャンプした際に着地に失敗し、後輪を段の角にぶつけたことによるリム打ちだ。
スタート前からスペアチューブを切らしてしまう、不安だが仕方ない。
どうせスペシャライズドブースに行くのだ、ポンプを借りる流れでブースに突撃することにする。
ついに幸平くんと対面!
ブース入りしてすぐに幸平くんとの顔合わせに成功。
それはそれはもう好青年すぎて、こちらがドキドキしてしまったほど。
「幸平くん」「すけさん」…会うなりこう呼び合える、一瞬で友人になってしまった感じである(笑)。
開会式までの間、ひとしきり故郷である北海道ネタで盛り上がった。
開会式
開会式出席のため幸平くんとは一旦別れ、ブース周りにいる知り合いに挨拶回り。
そうこうしているうちに、今回の道連れ一緒に参加してくれたヨッシーが合流。
室戸合宿で仲良くなったヨッシーとは、5月に一緒にライドして以来である。
このライドイベント、2つのコースがあって、我々は65kmのMANKITSUコースに参戦。
もう一方は23kmのSHIOKAZEコースで、こちらはファミリーでの参加も可能。
65kmという距離への抵抗は全くもってないものの、何しろ寒い。
風が強く、アップライドで暖まった身体は一瞬で冷えた。
完全防寒を施した私であるが、汗が乾いてしまってはどうすることもできない。
震える私の横で、「僕は上下ヒートテックです」と余裕をかますヨッシー。
何の気なく、たまたま巡り合わせで全身ほとんどをCastelliで固めた私。
Castelliからもヒートテックが出ないものだろうか。
何百人もの参加者を10人弱に分けてスタートさせている。
後方に並んでしまった我々がスタートするのに何分かかったであろう。
ようやく迎えたスタート、身体が冷え切っていたとはいえスタートしてしまえば心が弾むものだ。
MANKITSUコース図(一部ズレなどあり。クリックするとルートラボへ飛びます)
スタートしてしばらくは良かったものの、大手海岸沿いでどうやら誘導ミスされていたらしい…。
と言うか、先導役のくぼっちがルート確認中に同走者が「こっちで大丈夫なはずだ」と言い張り、結果そのルートが間違っていたというね…。
まぁしばらくしてコース復帰できたので何ら問題は無かったのだけれど、霊山寺の前で1つ前の組でスタートしたiwassoの面々が後方から合流し、我々がかなりの距離と時間をショートカットしていたことが判明。
西に向いて走っている間は向かい風がかなり強いため、楽につけるスピードのグループの後方で待機。
それが奏功し、霊山寺の前で梨絵さんグループに合流し、そのまま大麻のエイドステーションへ。
大麻のエイドステーションで梨絵さんと
ということで、エイドステーションでの休憩中は梨絵さんにご挨拶。
今シーズン限りで引退ということで、今後の予定などを一通り教えていただく。
このエイドステーションではパンやバナナ、スポーツドリンク、地元のお茶などが配られる。
パンをいくつかもらって食べるが、身体が欲する量を圧倒的に下回っていたことを後になって気付くこととなる…。
ここからは、さらに山あり海ありのルートだ。
約2kmの登坂となる卯辰越は、ヨッシーと談笑しながらクリアできるペースで乗り切る。
ここで何人も抜いたが、ヨッシーのスタミナは大丈夫らしい、久々の自転車という割にはなかなか強い。
各々のペースでダウンヒル後は再合流し、北灘の海沿いを鳴門スカイラインに向かって一気に飛ばす。
絶好の追い風である、ここで一気にペースと時間を稼ぐことに成功。
こんな海の目の前も疾走できる!(写真右のプリケツはヨッシー)
鳴門スカイラインからは激坂、海、そして激坂の繰り返し。
上りの距離は短いが、勾配が10%を超える難所である。
激坂クリア後はスカイラインを一度外れ、写真にあるような海沿いの道へ。
ここはなかなかのもので、このイベントにおけるハイライトとも言えるのではないだろうか。
そして天国もあれば地獄もあるとばかりに、再度スカイラインに合流する際に最大勾配30%はあるという室の激坂が待ち受ける。
さすがにバイクを降りて歩いて上る人もちらほら。
みんな続々とゴールへ
そして無事ゴール。
65kmの道中、ヨッシーとは食生活ネタや体重ネタ、よく行くライドコースの話などで盛り上がった。
特に食生活ネタは、いかに私が食が細い人間かを実感することになったという…。
食生活と言えば、ライド中やたらと空腹感に襲われた。
スタート直後に急に空腹を感じ[一本満足]を食べたものの、鳴門スカイラインで再び空腹に。
万が一のためにもう1本持っていた[一本満足]も食べることに…、一本で満足できてないじゃん!
大麻のエイドステーションでの補給も、明らかに少なかったということだろう。
ヨッシーと記念撮影
ゴール後はパンやらうどんやらをもらって食べ、スペシャライズドブース前でグズグズと。
朝に挨拶できていなかった人に改めて挨拶したりしつつ。
ゴールした人たちがポツポツ帰り始め、私もヨッシーと解散。
スペシャライズドのボトルや鳴門名産の糸わかめなどが参加賞に
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解散後しばらく私は会場に残り、幸平くんや梨絵さんとお話をさせていただき、いろいろと情報収集。
お二人ともに「もっとマウンテンバイクを知ってほしい!」とおっしゃっていましたね。
不定期サイクルライターとしても、何かできることはないかと真剣に考えたいところ…。
梨絵さんからは「まず自分でマウンテンバイクに乗ってみることですね!」と言われ、何とも耳が痛い…。
幸平くんからは、来シーズンのことやトレーニングについて、現在の身を置いている環境についてなど、実にリアルな話が聞けました。
スタッフでもない、一般参加者の私がここまでお二人に近付いて良いのかとも思いつつ…。
とにかく、お二人から聞いた話は今後私自身の活動に活かしていきたいなと真剣に思っております。
長い時間割いてお話してくれたご両人には本当に感謝!
鳴門ライド最大の戦利品! スペシャライズドのグローブに幸平くん(左)、梨絵さん(右)のサインを入れていただく。幸平くんからは「Sukesan」と私のニックネームまで!
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ここからはちょっと反省を…。
あくまで、私自身を中心に置いて見ているものなので、他の方からしたら全く違う解釈になることは大いにあるだろうということを、あらかじめお断りしておきます。
まず、このようなイベントにおいても、交通マナーの問題は切実です。
交通量の多い道で、わざわざ2列走行するライダーたち。
前走者を抜くための動きであったとしても、後方からくる自動車の存在を知ってか知らずか、やってはいけない走り方をしてまで追い抜く必要性はそこにはありません。
また、交差点各所にボランティアスタッフが立ち、信号が赤になった場合、また信号の無いところでは車通りに合わせて停止の指示を出してくれていました。
一部、それを無視して横断するライダーが見受けられました。
みんなで渡れば怖くない的な意識なのでしょうか、何故停止の指示を無視するのか。
日頃の走りは、このようなイベント時にもついつい出てしまうものです。
そういう人は特に目立っているということを、すべてのライダーが自認する必要があると感じました。
また、ライド中の声掛けや手信号なども重要。
数人の列で走っている場合は、前方の様子が分からないケースも多く、手信号があるのと無いのでは大きな差が生まれます。
声掛けや手信号を出す余裕がないライダーもいるのかな、と感じたり。
個人的に思うのは、イベントの開会式などで手信号の出し方を軽くでも触れておくと、参加者にとって有益になるのではないかなと。
私自身の反省点も多く、まとめるのが難しいのですが…。
何より、自分のことに精一杯になってしまい、知り合いの方への挨拶はおろか、私が誘って一緒に参加してくれたヨッシーにさえ思うように気を回せなかったのは本当に申し訳なかった。
凄く悔しくて、未だに悶々としています。
65kmを走るにあたって、私の中での決め事としては久々のライドだというヨッシーをちぎらないことで、その点での最低限のノルマは達成。
また、同じ時間、同じコースを走る人たちは顔や名前を知らずとも、私はみんなを友人だと思って臨んでいました。
前もって声をかけることで危険を未然に防げたり、みんなが安全に走ることができるためなら、積極的に動こうと思っていました。
卯辰越のダウンヒルで脱いだジャケットをリアホイールに絡ませかけていた人を止めたり、鳴門スカイラインの激坂で蛇行しながらも必死に上っている人たちにできるだけ路肩側を走るよう促したり、スタッフでもない一般参加者がこんなことをするのは越権行為だと言われるかもしれません。
でも、こういうのは日頃から走り慣れている“強い”ライダーが率先してやらないといけないと思うのです。
激坂で己の限界に挑戦すべくガシガシ踏んでいくのも良いけれど、それは他の機会にもできること。
その時々で、今できることは何なのかを考えて動くべきではないかと私は考えます。
あっ、まぁ私は全くもって“強い”ライダーではございません…それだけはハッキリさせておきます(笑)。
また、私自身もっといろんなイベントや走行会に顔を出していかねばならないなとも思った次第。
前記したことにつながる部分があるのですが、1,2回お会いしたことのある方にご挨拶しても「誰やねん!?」って反応されてしまうのは正直辛い…(涙)。
もちろんその逆もしかり。
やはり今後は積極的に参加して、顔を売っていかねばならないと強く思っております。
挨拶してくださったのに、愛想の無い返しをしてしまった方にはこの場をお借りしてお詫びいたします。
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というわけで、まとまりそして脈略の無いイベント報告はこれにて終了。
ちなみに、荷物が増えた帰りは迎えを呼ぶことにし、自走帰宅は断念。
それにしても、帰りに幸平くんが見送ってくれたのは本当に嬉しかったなぁ…マジでありがとう!
自転車王国とくしまライド in 鳴門オフィシャルサイト http://narutoride.r25.me/