オランダを舞台に繰り広げられているロード世界選手権は、いよいよ花形種目の男子エリート・ロードレースが最終日、最後の種目として行われます。

レースを目前に各国の出場選手が確定し、男子のアンダーやジュニア、そして女子種目が行われレースの大方の傾向が見えてきました。

そこで、コース分析や有力国などを挙げながら、レースを展望してみたいと思います。

 

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UCIロード世界選手権・男子エリート ロードレース(Maastricht~Valkenburg、267.0km)-9月23日

【過去5年の優勝者】

2011年(コペンハーゲン) マーク・カヴェンディッシュ

2010年(ジーロング) トル・フスホフト

2009年(メンドリシオ) カデル・エバンス

2008年(ヴァレーゼ) アレッサンドロ・バラン

2007年(シュツットガルト) パオロ・ベッティーニ

 

【コース分析】

 

267.0kmの行程中、マーストリヒトから106kmの片道コースを走ったのち、16.1kmの周回コースへ。

前半のラインルートには7ヶ所の登坂区間が設けられているものの、ここで勝負がかかることはまず無いと言えるでしょう。

何かあるとすれば、ライバル国に脚を使わせるために、有力国のアシストが逃げグループを形成しようとする動きでしょうか。

 

周回コースは全部で10周。

登坂区間は2ヶ所あり、周の中盤に迎えるBemelerberg(900m・5%)、そして残り3kmを切って登場するCauberg(1200m・5.8%)。

 

ここまでのロード種目の傾向なども踏まえて見ると、Bemelerbergでは決定的な動きが起こる可能性は少ないと言えそう。

仮に最終周にこの場所でアタックをしたとしても、約7km逃げ続ける必要が出てくるため、よほど独走力のある選手でない限りは厳しいか。

また、Caubergはアムステル・ゴールドレースのように頂上ゴールとは異なり、登坂後ゴールラインまで1700mあるため、展開次第では生き残ったスプリンターにも勝機が。

パンチャーがアタックをして数人に絞ったとしても、上りきった後に牽制が始まってしまえば集団が合流し、比較的大きめの集団スプリントになるケースも十分にあり得そう。

少ない人数で勝負したい選手やチームにとっては、残り2,3周から積極的に仕掛けていく必要があるかもしれません。

 

いずれにせよ、パンチャーや登坂力のあるスプリンターに有利なレイアウトと言えそうです。

 

【出場選手】

UCIから発表されたスタートリストをアップしておきます。

 

 

主な有力選手

●パンチャー系

ジョナサン・ティーナンロック(イギリス、エンデュラレーシング)

ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

モレノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)

フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)

フレフ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)

サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)

エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ノルウェー、SKY)

シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファルマ・クイックステップ)

トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)

ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)

リゴベルト・ウラン(コロンビア、SKY)

アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)

新城幸也(日本、ユーロップカー)

別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)

ゼネク・スティーバー(チェコ、オメガファルマ・クイックステップ)

 

●スプリンター系

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY)

ベン・スウィフト(イギリス、SKY)

オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)

マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ)

トム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)

アラン・デイヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・シャープ)

マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)

グレガ・ボレ(スロベニア、ランプレ・ISD)

ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)

宮澤崇史(日本、サクソバンク・ティンコフバンク)

マッティ・ブレシェル(デンマーク、ラボバンク)

 

コース特性により、人数を揃えられる有力国はパンチャー、スプリンターと勝負できる選手をバランス良く構成しています。

 

中でも、今回本命視されるのがベルギー。

ジルベールは優勝候補筆頭と言えそうです。

もたついたシーズン前半を乗り越え、ブエルタで復活のステージ2勝。

調整も順調に進めた模様で、チームとしてまずはジルベール中心のレースを組み立ててくるはず。

また、集団スプリントとなればトラブルなど無い限りボーネンでゴールを狙います。

シーズン通して絶好調であることはもちろん、先日のTTTでもカウベルグをクリアし、コースに対する問題はなさそう。

最終局面でジルベールが勝負に出た場合でも、ボーネンは好位置に付けておくことが必要です。

 

続くのはスペイン。

選手層の厚さはベルギー以上。

カストロヴィエホ、フレチャらで前半の流れを作り、ペースの上がる後半からはコンタドールやモレーノで展開していくか。

ロドリゲスやS・サンチェスといった上りでのパンチ力を備える選手がいるものの、コース適性で言えばバルベルデがエースになりそう。

上りでのアタックはもちろん、人数が減った集団でのスプリントでも強さを発揮するのが魅力。

今年のアムステル・ゴールドレースで好走したフレイレもおり、カウベルグをクリアできればスプリント役を担うことに。

 

ミラノ~サンレモ、GPケベックを制したゲランスも優勝候補。

ライバルの動きに上手く合わせ、ゴールスプリントで勝ちに行く得意のスタイルが決まればアルカンシェルをグッと引き寄せることに。

オーストラリアはデイヴィス、ハウッスラー、マシューズとスプリンターを多くメンバー入りしており、展開に合わせられる戦力が整っている点は押さえておきたい。

 

ツール後のワンデーレース、GPプルエー、ケベックとモンレアルのカナダ2連戦で好調さをアピールしたボアッソン・ハーゲンやコスタにも注目。

パンチャー系の中でも抜群の独走力を持つ2人は、最後のカウベルグで飛び出して逃げ切りを図る可能性もありそう。

チームの人数が少なく、レースをコントロールする必要が無い分、有力選手の動きに合わせて出方を変えられるか。

 

チャンピオンチームであるイギリスは、今回苦戦を強いられるという大方の予想。

カヴェンディッシュにとっては、カウベルグを10回こなすのは厳しいか。

スウィフトが代わりにスプリント役を担う可能性があるものの、こちらも最後の局面まで残れるかは微妙。

そんな中、今シーズン彗星の如く現れたティーナンロックにかかる期待が大きくなります。

ツール後の疲労が激しいウィギンスやフルームに代わって、得意の上りでのアタックで勝機を見出したい。

 

同様に、イタリアも正攻法では勝負に絡むのは厳しいかもしれません。

ニバリがエースを務める公算が高いものの、スプリントにもつれ込むと勝つのが難しくなるため、どれだけ他国の有力選手を落とせるか。

コース適性からすると、モゼールやトレンティンといったスプリント力のある選手の方が合っていると言えそう。

 

ツール後は大きなリザルトを残していないサガンは、どの程度調整できているか次第。

上り、スプリントともにハマれば他を圧倒できるだけのものがあるだけに、ライバルにとっても脅威。

有力選手が揃う集団内に残ることができればスプリントで勝ちに行きたい。

フアンがあるとすれば、レースの進め方に若さが出るケース。

自らが先に仕掛けるようなやり方は得策ではないかもしれません。

 

その他、7人でのレースではあるものの堅実なアシストが揃うドイツは、デゲンコルブを最後まで残したいところ。

また、世界選手権にめっぽう強いブレシェルは、チームメンバーが3人と少ないもののメイン集団に残ることができればチャンス。

 

6人で臨む日本チームは、展開に添ってエースを立てる方針。

トップシーンを走る4人はもちろん、メンバー全員が海外での走りを知る選手なのが心強い。

他国の動向次第では、誰かを逃げに送り込んだり、中盤の動きに乗るといったことも十分に考えられそうです。

 

【優勝予想】

戦力の充実度のほか、個人的な希望的観測も込みで予想をすると、

 

★★★

フィリップ・ジルベール

★★

サイモン・ゲランス、エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン

トム・ボーネン、アレハンドロ・バルベルデ、オスカル・フレイレ

 

と見ています。

明確な根拠があるわけではないですが、ボーネンやフレイレといったスプリンターがレースをモノにする可能性は結構高いのではないかと見ていたり…。

 

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UCIオフィシャルサイト内世界選手権ページ

http://www.uci.ch/templates/UCI/UCI3/layout.asp?MenuId=MTYzNDI&LangId=1

UCIロード世界選手権オフィシャルサイト

http://www.limburg2012.nl

 

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