Review②では、それぞれ男子エリートの個人TTとチームTTのリザルトと戦評を。

個人、チームそれぞれの最速ライダーを決める戦いは、最後の最後までもつれる名勝負となりました。

開催日順に振り返ってみたいと思います。

 

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UCIロード世界選手権・男子エリート チームタイムトライアル(Sittard~Valkenburg、53.2km)-9月16日

 

【結果】

1.オメガファルマ・クイックステップ(ベルギー) 1:03:17.17(Ave.50.532km/h)

2.BMCレーシングチーム(アメリカ) +03″

3.オリカ・グリーンエッジ(オーストラリア) +47″

4.リクイガス・キャノンデール(イタリア) +1’04”

5.ラボバンク(オランダ) +1’08”

6.モビスター(スペイン) +1’18”

7.カチューシャ(ロシア) +1’18”

8.レディオシャック・ニッサン(ルクセンブルク) +1’21”

9.SKY(イギリス) +1’32”

10.ガーミン・シャープ(アメリカ) +1’35”

 

フルリザルト(公式サイト)

 

18年ぶりに復活したチームタイムトライアルは、かつての国別対抗からUCIトレードチームによる戦いに変わり、2013年シーズンにてジャージ内に用いることのできる“勲章”となるチャンピオンロゴを賭けて争われました。

グランツールなどのTTTとは異なり、1チーム6名であるのも特色。

さらには、4人目でゴールした選手のタイムが採用されるシステムに。

 

この大会に並々ならぬ意気込みで臨んだΩクイックが“初代”チャンピオンに。

中間計測を含め終始トップタイムを維持し、終盤のカウベルグも乱れることなく6人全員でゴール。

最後はボーネンを先頭でゴールさせるほどの余裕を見せ、チーム力の高さを見せた格好。

 

Ωクイックに続いて出走したBMCは、第1計測こそ4位だったものの、第2計測以降は2位のタイムをキープし、銀メダルを獲得。

既に2人脱落していた状況で迎えたカウベルグでは、長いこと先頭を牽いていたフィニーが脱落しかけ、それをチームが待ったことがタイムロスにつながる結果に。

ΩクイックとBMCはAve.50km/hオーバーをマークし、他チームとのスピードの差を見せつけました。

 

3位にはシーズン通してTTTに強さを見せていたグリーンエッジが入っています。

一方で、グリーンエッジ同様TTTを得意とするSKYは9位、ガーミンが10位に沈んでいます。

 

 

 

【戦評】

優勝のΩクイックは、数ヶ月前からメンバーを固定し、数回にわたる試走を繰り返すほど念入りな準備で臨み、それが見事に結果として表れました。

マルティン、ファンデワーレ、シャヴァネル、P・ベリトスの世界&ナショナルチャンピオンに、独走力のあるテルプストラ、そして抜群のスピードを誇るボーネンと、これ以上ないと言えるほどのベストな布陣を組み、その実力に違わぬ走り。

個々の能力はもちろん、前述した入念な準備と対策が勝因と言えそう。

6人で回し続け、最後の最後まで各選手のスピードが効果的に発揮されるよう計算しつくされていた印象です。

スプリンターのボーネンがカウベルグを耐え凌ぎ、最後は先頭を牽引してゴールしていた点がその一例でしょう。

ちなみに、6人全員でゴールしたのはΩクイックのみ。

 

3秒差で惜しくも大魚を逃したBMC。

前半から好位置に付け、後半勝負の姿勢は見て取れたものの、早々に2選手が脱落し手薄な状態でカウベルグを迎えてしまったのが痛かった。

特にフィニーの牽引時間が全体的に長く、カウベルグで脱落しかけたことは敗因として挙がってしまうのは致し方ないところ。

パンチャーのバランとジルベール、オールラウンダーのヴァンガーデレンの3人が登坂区間でペースを作れるのが長所であったチームにおいて、カウベルグで追い込めなかったのは最終的な3秒差に直結してしまった感。

 

リザルトを見る限り、ΩクイックとBMCのタイムが抜きんでており、3位以降のチームとの力の差が明白。

この種目に対する各チームの注力度合いの違いがあるとはいえ、8人ないし9人で臨むステージレースのTTTと6人で行う今回のような一発勝負のTTTでは、要素が異なるものと言えるかもしれません。

また、プロチームとプロコン以下のチームとの力の差もはっきりと出た形。

プロコン以下のチームで最上位は、2分14秒差で14位のルスヴェロ。

 

来シーズン以降、このTTTを見据えて各チームがどの程度戦力強化に取り組むのか、一方であくまでシーズンの1レースとしか見ずにやり過ごすのか、その辺りも焦点となりそうです。

 

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UCIロード世界選手権・男子エリート 個人タイムトライアル(Heerlen~Valkenburg、45.7km)-9月19日

 

【結果】

1.トニー・マルティン(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ) 58:38:76(Ave.46.755km/h)

2.テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム) +05″

3.ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、モビスター) +1’44”

4.ティジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +1’49”

5.フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ) +1’50”

6.ドミトリー・グルーゼフ(カザフスタン、アスタナ) +1’56”

7.ヤン・バルタ(チェコ、ネットアップ) +2’12”

8.アレックス・ダウセット(イギリス、SKY) +2’26”

9.アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・ティンコフバンク) +2’30”

10.アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD) +2’40”

 

フルリザルト(公式サイト)

 

カンチェラーラ、ウィギンス、フルームといった有力勢を欠く中、2連覇を目指すマルティンがどのような走りを見せるか、そして誰がマルティンにチャレンジするのかがポイントとなりました。

 

雨でウェットなコンディションの中、前半スタートのグルーゼフがマークしたタイムが長い間トップに君臨。

グルーゼフから12人後にスタートしたキリエンカがようやくトップタイムをマークするも、以後それを上回る選手が出ない状況。

厳しい上りが含まれるコース設定に期待がかかったヴァンガーデレン、ケシアコフもキリエンカのタイムを塗り替えられず、優勝の期待がかかったコンタドールにいたっては前半から波に乗れず、途中でマルティンにかわされる場面も。

 

そんな難コースで異次元の走りを見せたのがフィニーと、ディフェンディングチャンピオンのマルティン。

第1計測でトップタイムのフィニーは、第2計測以降は2番手のタイムも順調にペースを刻み、3日前のTTTでは失速したカウベルグを攻めるとそのままの勢いでゴール。

この時点でキリエンカを1分39秒上回るタイムでトップに立ちます。

 

一方のマルティンは第2計測でトップタイムをマークすると、以降フィニーに対し20秒近い差まで広げます。

しかし、中盤の走りが影響してか、カウベルグで苦しみ失速気味で上りをクリア。

踏み直しゴールを目指すと、フィニーを5秒上回るトップタイムをマーク。

苦しみながらも2連覇を達成し、連覇をアピールするポーズを決めながらのゴールとなりました。

 

結果、マルティンが優勝、最後までマルティンを苦しめたフィニーが躍進の2位、そして長いことトップに居続けたキリエンカが殊勲の3位に。

 

 

 

【戦評】

昨年、新時代の到来を告げる勝利を挙げたマルティン。

今年は“アルカンシェルの呪い”を受けトラブル続きだったものの、それを帳消しにするかのような快走で2連覇を達成。

走りやポディウムでの振る舞いにも王者の風格が漂っています。

 

とはいえ、フィニーとのタイム差以上に薄氷の勝利であったことも確か。

中盤の走りの差が結果的にゴールタイムに出た感じか。

2連覇し、今後は王者の席にいつまで座り続けるのかが興味深いところ。

 

TTTで見せたカウベルグでの失速を糧に、上手く走った印象のフィニー。

中盤でタイムを少し落としたのは、下り基調となる部分での走りが影響していたかもしれません。

中間計測を見る限り、上り基調となっている部分ではマルティンに対してタイム差を縮めており、そういう意味では勝利まであと一歩だったと言えるでしょう。

しかしまだ22歳と若く、今後幾度となくチャンスが訪れるであろう選手。

今年は長距離TTへの適性を見せ、スペシャリストとしての地位を確固たるものにしただけに、これからに期待。

 

厳しい上りが含まれるコースレイアウトも関係し、上りに強い選手やオールラウンダー系の選手にもチャンスがあった中、それを見事にものにしたのがキリエンカ。

終始安定した走りが銅メダル獲得に結び付きました。

また、メダル獲得こそならなかったものの、ヴァンガーデレンやケシアコフも期待通りの走りだったと言えるでしょう。

逆に、優勝候補筆頭に挙げる声もあったコンタドールはリザルトこそ9位とまとめたものの、中盤で後走のマルティンに抜かれ、いまひとつ実力を発揮できず。

歴史的レースとなったブエルタからの調整が難しかったこともあるでしょう。

 

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UCIオフィシャルサイト内世界選手権ページ

http://www.uci.ch/templates/UCI/UCI3/layout.asp?MenuId=MTYzNDI&LangId=1

UCIロード世界選手権オフィシャルサイト

http://www.limburg2012.nl

 

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