今年で3回目を迎えたカナダでのワールドツアーレース2連戦。

年々レースの価値が高まる中、今回は間近に迫った世界選手権を見据えた格好の脚試しの場となりました。

2レース分の結果を振り返り、有力選手たちの動向を追ってみたいと思います。

 

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グランプリ・シクリスト・ド・ケベック(201.6km)-9月7日

 

【結果】

1.サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 4:53:04

2.フレフ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) s.t.

3.ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +04″

4.ルカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) +04″

5.トム・イェルテ・スラフテル(オランダ、ラボバンク) +04″

6.ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・ISD) +04″

7.トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +04″

8.ファビアン・ウェーグマン(ドイツ、ガーミン・シャープ) +04″

9.ゲラルド・チオレック(ドイツ、オメガファルマ・クイックステップ) +04″

10.フランシス・パリジャン(カナダ、スパイダーテック) +04″

 

フルリザルト(公式サイト)

 

カナダ勢を中心とした逃げグループがレースを盛り上げた中、本格的な勝負はラスト2周回から。

細かいアタックが繰り返される中、残り20kmを切ってから抜け出したのはC.Aセレンセンとカナダナショナルのラングロワ。

2人が協調し良いペースを築く一方、メイン集団はSKYやガーミン、Ωクイック、ロットらの選手たちがペースを上げて追い上げます。

そして、後方から追いついたデヴェニエンスと、そのまま先頭に残ったセレンセンの2人がメイン集団に対し数秒先行してラスト1周へ。

 

メイン集団からヘルマンスやウリッシ、グリヴコ、ルーランツらがアタックするもいずれも決定打には至らず。

そして、残り4kmで先行する2名を吸収すると、直後のCote de la Montagneでファンアーヴェルマートがアタックし、その後の下りでゲランスが合流。

メイン集団はアタックが頻発するもペースアップにはつながらず、一瞬ペースが緩んだタイミングでサガンが単独追走を開始。

牽制気味の先頭2人に対し、勢いに勝るサガンは合流まで目前に迫ります。

しかし、残り1kmを切ってサガンが失速、優勝争いは2人に絞られます。

 

サガンと後ろのメイン集団を引き付けられるだけ引き付けた2人は、満を持してスプリントを開始。

先掛けしたファンアーヴェルマートを冷静に見たゲランスが残り100mで余裕の逆転。

この大会は初優勝、3月のミラノ~サンレモに続くビッグレースでの勝利を挙げました。

 

メイン集団の先頭となる3位争いは、力尽きたサガンをかわしたコスタが制しています。

また、アシストとしてメイン集団の前方を走った別府選手は、終盤の仕事を終えるとグルペットでゴール。

僅か6人で臨んだグリーンエッジが力でもぎ取った勝利に貢献しています。

 

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グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(205.7km)-9月9日

 

【結果】

1.ラース・ペーター・ノルドハウグ(ノルウェー、SKY) 5:28:29

2.モレノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +02″

3.アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ) +02″

4.サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +04″

5.エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ノルウェー、SKY) +04″

6.ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) +04″

7.ユルゲン・ルーランツ(ベルギー、ロット・ベリソル) +04″

8.ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +04″

9.ルカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ) +04″

10.トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン) +04″

 

フルリザルト(公式サイト)

 

レースは、ヴォクレールでの勝利を狙うユーロップカー勢が積極的に逃げに選手を送り込むなどして推移。

そして勝負は、このレースもラスト1周に委ねられます。

 

まずはヴィスコンティのアタックでレースは活性化。

続いてサクソティンコフのタナーや、ユーロップカーのケルヌがアタック。

そして、それを追うメイン集団内では落車が発生し、チオレックやブライコヴィッチが戦線から離脱。

 

そして残り10kmを切って、上りを利用してボアッソン・ハーゲンを発射すべくノルドハウグが一気にペースアップ。

これには有力選手が反応し、20人強の集団に絞られます。

その後アタックが頻発するもいずれも失敗に終わり、2日前のリベンジに燃えるファンアーヴェルマートも残り7kmでアタックし成功しかけたものの、1kmほど進んで吸収。

 

残り4.7kmでノルドハウグがアタックすると、これが決定打に。

メイン集団は牽制状態となり、思うように追うことができず。

ゴールまで2kmを切ってモゼール、コロブネフ、ルークマンスが合流。

先頭4人とメイン集団の差は数秒。

 

ゴールに向けた争いは、残り1.4kmでコロブネフがアタック。

他の3人に対し差を付けるも、残り500mからの最後の直線でモゼールが猛追。

残り150mでコロブネフをかわすと、モゼールの付き位置にいたノルドハウグがラスト100mで逆転。

そのままゴールラインを通過し、ビッグレース初優勝。

これまで同胞のボアッソン・ハーゲンの陰に隠れ、今夏の移籍市場で早々にラボバンク移籍を決めた“ノルウェー第2の男”が大一番で勝利を収める形に。

 

ノルドハウグ以下は、モゼール、コロブネフと入り、メイン集団の先頭で入ったゲランスが4位に。

 

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【戦評】

地理的な関係から、2レースともほぼ同じメンバーが出場したことで、世界選手権に向けて順調に調整が進んでいる選手が浮き彫りになった印象。

 

世界選本番ではオーストラリアチームのエースを担うであろうゲランスは、特に状態の良さをアピールしたと言えそう。

ケベック優勝に続き、モンレアルも4位。

モンレアルでは優勝を争った4人の後塵を拝したとはいえ、その直前まで自ら動く姿勢を見せるなど強さを発揮。

リンブルフのRRコースは、ゴール前にカウベルグの上りをクリアし、その後ゴールスプリントが予想されるゲランスにとってピッタリのレイアウト。

今シーズン、ビッグレースでの勝負強さを見ても、カナダの2戦を経てアルカンシェル候補であることは間違いないでしょう。

 

ベルギー勢では、世界選でジルベールやボーネンのフォロー役を担うであろうファンアーヴェルマートがケベック2位。

相変わらず(?)あと一歩で勝ちを逃したとはいえ、モンレアルでも強力なアタックを披露。

リンブルフでもレースをかき回す仕掛けに期待しても良さそうです。

 

世界選では3人で臨むことになるノルウェーは、少人数ながら戦力の充実度はかなりの高さ。

ノルドハウグ、ボアッソン・ハーゲンの2枚看板が好調をキープしてリンブルフへ乗り込むことになります。

モンレアルでは紛れもなく一番強かったライダーであるノルドハウグは、世界選と同じコースを走ったアムステル・ゴールドレースでもカウベルグを好位置で上る(直後にクネゴと絡んで落車)など、登坂でのパンチ力が持ち味。

ケベックでは不調でリタイアしたボアッソン・ハーゲンもモンレアルでは復調。

集団コントロールの必要が無い世界選では、勝負どころで持ち味を発揮できるか。

 

2戦連続好リザルトのパオリーニは世界選では牽引役かアタッカーを担当か。

カナダの2戦と相性の良いコスタも、良い流れでリンブルフ入りができそう。

また、ナショナルチームに抜擢されることになりそうなモゼールはモンレアルで殊勲の2位、スラフテルはケベック5位、ウリッシはケベック6位、ギャロパンはモンレアル10位と、自らも勝負できる可能性を示しました。

本番での展開次第では、彼らの働きが大きく左右することもあり得るでしょう。

 

ツールまでの勢いに陰りが見えたサガン。

2戦とも勝負に絡むところまで行きながら惜しい結果に終わりました。

スプリントになれば強さを発揮するも、自らが追走する展開になるとまだ若干厳しい部分もあるようです。

世界選では決定的な動きに乗り遅れないことが重要に。

 

ルークマンスやヴォクレールといったベテランのパンチャー、ツールでの落車リタイアからの回復をアピールしたヘシェダルら、経験豊富な選手たちも徐々に調子を上げており、リンブルフのアップダウンでも勝負に絡んできそう。

その他にも、ここでは手の内を見せずに本番での活躍を期する選手も当然いることでしょう。

 

このカナダ2連戦を経た選手から新たな世界チャンピオンが生まれるか。

その期待が大いに持てる好レースでした。

 

グランプリ・シクリスツオフィシャルサイト http://gpcqm.ca/fr/accueil/

 

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グランプリ・シクリスト・ド・ケベック&モンレアル-Preparation

 

 

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