ツール・ド・スイスの後半ステージを振り返ります。

圧倒的な力を示したスプリントあり、本命撃破のTTあり、劇的な逃げあり、そして最後の最後までもつれた総合争いありの、濃密な4ステージ。

 

第1~5ステージのReviewはこちら

 

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ツール・ド・スイス-6月9-17日

 

●第6ステージ(Wittnau~Bischofszell TG、199km)-6月14日

 

【結果】

1.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 4:30:08

2.ベン・スウィフト(イギリス、SKY) s.t.

3.アラン・デイヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) s.t.

 

【総合】

1.ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 25:23:38

2.フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +08″

3.ローマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +15″

 

●ポイント賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 102pt

 

●山岳賞

ヴォラドミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ) 21pt

 

●ベスターシュヴァイツァー賞

マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) 25:25:15

 

フルリザルト(公式サイト)

 

今大会最後のスプリントステージ。

サガン擁するリクイガスや、リーダーチームであるモビスターが集団をコントロールし、逃げを吸収。

 

テクニカルなコーナーに上り基調のゴール前に本命サガンがなかなか良いポジションを押さえられず、バリアに押し寄せられる場面も。

その間隙を縫って飛び出したのはスウィフト。

しかし、アルバジーニとデイヴィスのグリーンエッジコンビの隙間が空いた瞬間をサガンは見逃さず、上りで一気に逆転。

今大会4勝目となるスプリント勝利をユニークなガッツポーズで決めました。

 

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●第7ステージ(Gossau ZH~Gossau ZH、34.3km)-6月15日

 

【結果】

1.フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ) 46:36:71

2.ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) +02″

3.マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・ニッサン) +20″

 

【総合】

1.ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 26:10:55

2.ローマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +50″

3.ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +55″

 

●ポイント賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 102pt

 

●山岳賞

ヴォラドミール・イサイチェフ(ロシア、カチューシャ) 21pt

 

●ベスターシュヴァイツァー賞

マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) 26:12:58

 

フルリザルト(公式サイト)

 

34.3kmで争われるTTステージは、前半に300mほどの高さを上り、その後は平坦基調。

 

総合で大きく後れをとり早々にスタートとなったカンチェラーラがさすがの走りでトップタイムをマーク。

しばらくトップを堅守すると思われた矢先、序盤から好走を続けたのがケシアコフ。

そのままのスピードを維持し、カンチェラーラを2秒上回るトップタイムをマーク。

結果、これまでTTでは目立った戦績の無かったケシアコフがビッグな勝利を手に入れました。

 

一方の総合上位勢は思いのほかタイムを伸ばせない選手が多く、第2ステージで苦戦したヘーシンクがそこでのロスを取り戻すべくコスタから14秒縮めるのが精一杯。

総合トップのコスタが持ち前のスピードでステージ8位に食い込む健闘。

総合2位につけていたフランク・シュレクはコスタから1分近く遅れ、総合での逆転が厳しい情勢に。

 

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●第8ステージ(Bischofszell TG~Arosa、148km)-6月16日

 

【結果】

1.ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ) 3:45:39

2.ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +1’15”

3.リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファルマ・クイックステップ) +1’15”

 

【総合】

1.ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 29:58:39

2.フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +14″

3.リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファルマ・クイックステップ) +21″

 

●ポイント賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 102pt

 

●山岳賞

ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ) 28pt

 

●ベスターシュヴァイツァー賞

マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) 30:01:02

 

フルリザルト(公式サイト)

 

スタート直後に飛び出した脚のある4人による逃げがそのまま決まったこの日のステージ。

残り約20kmで抜け出したアルバジーニとベリトスによるステージ争いは、最後の超級山岳でも自分のテンポを守ったアルバジーニのものに。

 

総合争いは、前日の遅れを取り戻したいフランクのためにレディオシャックがハイペースで牽引。

終盤の2級山岳に入ると、総合リーダーのコスタがたまらず遅れかける場面がたびたび。

そのたびにバルベルデが前を牽き、何とか2級山岳はクリア。

 

そして超級山岳へ。

衰えない集団の勢いにコスタがついに脱落。

それを見たフランクがアタックし、ニエベとライプハイマーが合流。

3人が協調したことにより、後続を大きく引き離すことに成功。

フランクはボーナスタイムを捨てコスタとのタイム差を開くことを選択したことにより、ゴール前で牽き続けスプリントでは2人の後塵を拝するも、コスタから50秒奪うことに成功。

再び総合2位に浮上し、14秒差で最終ステージに臨みます。

 

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●第9ステージ(Näfels-Lintharena~Sörenberg、216km)-6月17日

 

【結果】

1.タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) 5:54:22

2.ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ・ビッグマット) +02″

3.マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディール) +31″

 

フルリザルト(公式サイト)

 

最終ステージまで持ち込まれた総合争い。

それをよそに、この日も大逃げを打った選手たちによるステージ争いとなりました。

4人が逃げ、最終的には3人による争いとなり、積極的に仕掛け続けたカンゲルトとロワのマッチスプリントに。

最後まで脚を残していたカンゲルトがワールドツアー初勝利となるステージ優勝。

最終局面で脱落し、3位に終わったモンタグーティは山岳ポイントを荒稼ぎし、山岳賞に。

 

一方の総合争い。

この日2つ目の超級山岳の上りでフランクがアタック。

明らかに早すぎると思われた仕掛けは、集団に対し1分近く差を付け頂上を通過。

結局、苦手とする下りで集団に追い付かれ、勝負は振り出しに。

 

雌雄を決する最後の2級山岳へ。

後続も次々と追い付き、人数を増やした集団からセレンセンがアタック。

それをきっかけに形成された先行グループには、複数人残していたラボバンクからクルイシュウィックが合流。

メイン集団はラボバンクとモビスター以外ほとんどが単騎だったこともあり、コスタのリーダージャージを守るべくバルベルデが捨て身の牽き。

 

バルベルデが役目を終えると、コスタ自ら集団を牽き、ライバルのアタックを封じることに成功。

クルイシュウィックグループに追い付かなかったものの、タイム差を2秒にとどめ安全圏でゴール。

コスタのほか、フランク、ライプハイマーらも同じ集団でゴールしたことにより、コスタの総合優勝が決定。

ガッツポーズでゴールするコスタの数秒後には、役目を果たしたバルベルデもガッツポーズで歓喜のゴール。

 

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【総合】

1.ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) 35:54:49

2.フランク・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) +14″

3.リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファルマ・クイックステップ) +21″

4.ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +25″

5.ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +40″

6.ローマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +47″

7.トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +48″

8.スティーブン・クルイシュウィック(オランダ、ラボバンク) +59″

9.アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’42”

10.ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル・ラモンディール) +1’52”

 

●ポイント賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 102pt

 

●山岳賞

マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディール) 73pt

 

●ベスターシュヴァイツァー賞

マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム) 35:57:10

 

フルリザルト(公式サイト)

 

【戦評】

戦前には予想されていなかった選手による総合優勝で幕を閉じた今回。

 

総合優勝候補がステージごとに波がある中、コスタは終始安定した走りが勝利の要因と見ることができそう。

超級山岳を制した第2ステージや好走した第7ステージTTもさることながら、ピンチに陥った第8ステージでも持ちこたえたのは大きかったと思われます。

とはいえ、これまでも1週間程度のステージレースやワンデーレースで結果を残してきており、いよいよメジャーレースでも優勝争いに顔を出す1人になるかもしれません。

何より、テレビ中継では盛んにTTの弱さを指摘されていましたが、実際は世界選U23で入賞したり、ポルトガルチャンピオンになったこともあるほどのスピードマン。

上りの強さは証明済みなだけに、総合系ライダーとしての飛躍を予感させる今回の優勝でした。

 

そのコスタを支えたバルベルデの働きも見事。

シーズン序盤にピークを持ってきていた関係から春は不調だったものの、ツールに向けて順調に調整を進めてきた印象。

特に最終ステージでの牽引は、状態の良さをアピールしたと言えそう。

もちろんツールではエースとして総合狙いの走りをしてくるはずです。

 

あと一歩でコスタに及ばなかった選手たちは、TTで落としたタイムが最後まで響きました。

ヘーシンクのみがコスタを上回ったものの、第2ステージでの遅れが痛手に。

また、フランクは第8ステージでは強さを見せたとはいえ、たびたび早めの仕掛けが裏目に出た格好。

しかし、ツールを見据えては各選手順調と言えそう。

「エースにはならない」発言のフランクは分かりませんが、TT改善に成功しているヘーシンクや怪我から復調のライプハイマーは総合争いでおもしろい存在になることでしょう。

 

また、この大会で忘れてはならないのがスプリント4勝のサガン。

アシストを受けてだけでなく、自力でポジションを奪って、または落車寸前から立て直してなど、いかなるシチュエーションでも勝利をもぎ取れる強さをまたも見せつけました。

いよいよ初のツール参戦となり、カヴェンディッシュとのマイヨ・ヴェール争いを繰り広げるのは間違いありません。

ピュアスプリントでも勝てるかを実証できるかが、大きなポイントとなってくることでしょう。

 

ツール・ド・スイスオフィシャルサイト http://www.tourdesuisse.ch/

 

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