引き続き、ドーフィネ後半戦を振り返ります。

TTあり、難関山岳ありの総合力を試されるステージは、予想以上の大差を生みました。

 

プロローグ、第1~3ステージのReviewはこちらから。

 

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クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ-6月3-10日

 

●第4ステージ(Villié-Morgon~Bourg-en-Bresse、53.5kmTT)-6月7日

 

【結果】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 1:03:12

2.トニー・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) +34″

3.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +1’11”

 

【総合】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 14:11:07

2.トニー・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) +38″

3.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +1’20”

 

●ポイント賞

トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン) 51pt

 

●山岳賞

ジョヴァンニ・ベルノドー(フランス、ユーロップカー) 38pt

 

●ヤングライダー賞

ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク) 14:12:52

 

●チーム総合

SKY 42:36:18

 

フルリザルト(公式サイト)

 

総合上位に付ける有力選手を前に、ラボバンクの新鋭・ケルデルマンが好タイムをマークししばらくトップを維持します。

そして迎える総合上位勢。

 

アルカンシェルのマルティンは第1計測こそゆっくり入ったものの、第2計測ではダントツのトップタイム通過。

期待に違わぬ走りで、ゴール時点で余裕の暫定トップタイムをマーク。

 

しかし圧巻だったのはマイヨ・ジョーヌのウィギンス。

マルティン同様第1計測は抑えて入ったものの、第2計測で圧倒的なタイムで通過。

そしてゴールを目前に、2分前にスタートしたエバンスにあわや追い付くかという激走。

風を味方に付けたとはいえ、53.5kmを50.8km/hの驚きのスピードで走り、マルティンに34秒差を付ける圧勝劇。

 

ウィギンスに迫られたとはいえ、エバンスも1分43秒遅れの8位とまとめ、残りのステージに向けて良い形で終えています。

 

後に控えるツールのTTステージ距離と同じ53.5kmだったこともあり、本番を占ううえで注目されたこの日。

総合系ライダーの中ではウィギンスが一歩抜けている印象を残すこととなりました。

一方で、今大会鳴りを潜めていたアンディ・シュレクが序盤に落車。

結果的にツール欠場につながる怪我を引き起こすこととなりました。

 

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●第5ステージ(Saint-Trivier-sur-Moignans~Rumilly、186.5km)-6月8日

 

【結果】

1.アイトール・ヴィショ(フランス、FDJ・ビッグマット) 4:42:17

2.エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +26″

3.ディミトリ・フォフォノフ(カザフスタン、アスタナ) +26″

 

【総合】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 18:54:23

2.トニー・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) +38″

3.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +1’20”

 

●ポイント賞

トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン) 51pt

 

●山岳賞

ケイタノ・ホセ・サルミエント(コロンビア、リクイガス・キャノンデール) 47pt

 

●ヤングライダー賞

ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク) 18:56:08

 

●チーム総合

SKY 56:46:06

 

フルリザルト(公式サイト)

 

中盤にツールでもおなじみの超級山岳・コロンビエールを超え、その後3級山岳を通過するとあとはゴールまでダウンヒルと平地となるレイアウト。

逃げ勝利を狙う選手たちにとっては大きなチャンスとなったステージ。

 

実際、総合とは関係の無い10人が逃げると、集団は落ち着きSKYが余裕のコントロール。

コロンビエールの下りでニバリやエバンスがアタックしアドバンテージを築くも、ボアッソン・ハーゲンやポートのSKYアシストの強力さには太刀打ちできず集団に戻る格好に。

 

一方の逃げグループは順調にゴールを目指し、逃げ切りが濃厚となるとナバーロやヴィショがアタック。

残り7kmを切って仕掛けたヴィショの動きが決まり、そのままゴールへ突き進みます。

結局、勢いは衰えることなく大逃げを決めるステージ優勝。

これまでアルデンヌクラシックを中心に渋い走りを見せてきた中堅選手がビッグな勝利を獲得しました。

 

メイン集団は終盤にレディオシャックがギャロパンのマイヨ・ヴェールを守るべく牽きを見せますが、ポイント獲得にはいたらず。

総合上位勢も競うことなくおとなしいゴールとなっています。

 

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●第6ステージ(Saint-Alban-Leysse~Morzine、167.5km)-6月9日

 

【結果】

1.ナイロ・クインタナ(コロンビア、モビスター) 4:46:12

2.カデル・エバンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +16″

3.ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +24″

 

【総合】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 23:40:59

2.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +1’20”

3.カデル・エバンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1’36”

 

●ポイント賞

カデル・エバンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 56pt

 

●山岳賞

ケイタノ・ホセ・サルミエント(コロンビア、リクイガス・キャノンデール) 88pt

 

●ヤングライダー賞

ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク) 23:44:25

 

●チーム総合

SKY 71:05:54

 

フルリザルト(公式サイト)

 

いよいよ本格的な山岳ステージ2連戦へ。

この日は前半と中盤に1級山岳が1つずつ、そして終盤に超級山岳を超えてゴールへのダウンヒル。

 

カテゴリー山岳がひっきりなしに続く中、強さを見せるのはリーダーチームのSKY。

逃げとの差を上手くコントロールし、圧巻だったのは超級山岳に突入してからのボアッソン・ハーゲンの牽き。

この牽きで一気に集団の人数が減ります。

 

序盤から逃げたメンバーの中で唯一先行していたフェイユは好調さを見せるも、超級山岳突入後に集団からのアタックを成功させたクインタナに追い付かれるとじりじりと後退。

クインタナは集団との差を保ちながらゴールに向かってダウンヒル。

 

下りに入ると集団からエバンスがアタック。

得意のダウンヒルで集団との差を付けてゴールを狙います。

 

最終的にクインタナが逃げ切りのゴール。

その16秒後にエバンス、さらに8秒後に集団がゴール。

2年前には若手の登竜門、ツール・ド・ラブニールの頂上ゴールを制し総合優勝したクインタナがその実力を発揮。

マイヨ・ジョーヌのウィギンスはエバンスとのタイム差をわずかに失ったものの、危なげなくステージを終えています。

 

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●第7ステージ(Morzine~Châtel、124.5km)-6月10日

 

【結果】

1.ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) 2:59:37

2.ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) s.t.

3.カデル・エバンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) s.t.

 

フルリザルト(公式サイト)

 

最終ステージは、後半に1級山岳通過し、最後は3級頂上ゴール。

距離こそ短いものの、ステージを狙う有力選手が逃げを見せます。

 

逃げメンバーの中には、実力者のコッペルが入ったことでメイン集団が大差を許さない展開に。

総合表彰台を確保するべく、SKYとBMCが協力してレースをコントロールします。

 

集団からニバリやジェニエらがアタックするもすべて封じられ、そのまま逃げメンバーも吸収。

40人弱の集団で3級頂上ゴールを目指します。

そして上りスプリント。

SKYがボアッソン・ハーゲンで勝利を狙うも伸びず、モレーノとLLサンチェスのスペイン勢による争いに。

結果、今大会絶好調のモレーノが第2ステージに続く2勝目。

LLサンチェスが2位、そしてエバンスが3位に続いています。

 

スプリント時に集団が割れるも大勢に影響はなく、アシストに守られたウィギンスがマイヨ・ジョーヌをアピールしながら余裕の2連覇。

タイム差以上にライバルを圧倒しての総合優勝となりました。

 

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【総合】

1.ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY) 26:40:46

2.マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY) +1’17”

3.カデル・エバンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1’26”

4.クリストファー・フルーム(イギリス、SKY) +1’45”

5.ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +2’12”

6.ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、モビスター) +2’58”

7.ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ) +3’07”

8.ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク) +3’26”

9.リッチー・ポート(オーストラリア、SKY) +3’34”

10.アイマール・スベルディア(スペイン、レディオシャック・ニッサン) +3’50”

 

●ポイント賞

カデル・エバンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 66pt

 

●山岳賞

ケイタノ・ホセ・サルミエント(コロンビア、リクイガス・キャノンデール) 91pt

 

●ヤングライダー賞

ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク) 26:44:12

 

●チーム総合

SKY 80:04:52

 

フルリザルト(公式サイト)

 

【戦評】

まさにツール前哨戦にふさわしいレースになったと言える1週間でした。

特に総合争いに関しては、ウィギンスとエバンスの2強の構図ができつつある印象。

 

ウィギンスは第4ステージTTの走りがドーフィネ総合優勝に直接つながったとはいえ、2位以下とのタイム差以上に強さがあると見ても良さそう。

後半に有力選手が動いた第7ステージでは自らブリッジをかけるなど、今年に入りたびたび見せるパンチ力はツールでも確実にものを言わせることとなるでしょう。

今が最も脂の乗った時期、山岳・TT問わずオールラウンドに力を発揮できる状態。

また、他チームであれば確実にエースを務められるほどの実力者揃いのアシストの存在も大。

毎ステージ、総合成績で遅れていたポートとボアッソン・ハーゲンの2人が勝負どころで牽き、総合上位に付けていたロジャースとフルームは結局脚を使う場面が無いほどの充実ぶり。

ツールの3週間ではさすがにロジャースとフルームの仕事場面は増えるでしょうが、それでも本来の実力を考えればウィギンスを支えるにふさわしい働きをするのは確実。

TTTでも強さを見せるのは間違いなく、あとはカヴェンディッシュが加わった際のスプリントとのバランスをどうするのか注目したいところ。

 

総合3位のエバンスもシーズン序盤の不調からツールにしっかり合わせてきている感じ。

チーム力やTTを考えるとウィギンスに対し分が悪いこともあり、山岳ステージでどれだけ好走できるかにかかってきそう。

ディフェンディングチャンピオンとしての経験や、この大会で見せたパンチャー的な動きでタイム差を稼ぐといった部分でどう展開させられるか。

ただ、ドーフィネからツールに向けてさらに調子を上げてくることでしょう。

 

SKYの強さやエバンスの走りの陰に隠れていたとはいえ、ツール総合上位候補も順調な仕上がりを見せているようです。

ファンデンブロックやブライコヴィッチといった昨年不本意な形に終わっている選手たちにとっては、士気高くツールに臨むはず。

今大会の総合争いには加われなかったものの、ステージ狙いのアタックを見せたニバリや、アシストする場面もあったメンショフといったスロー調整組がツール本番で加わってくると、より激化した戦いが観られそうです。

 

その他では、“ジロ組”のモレーノのステージ2勝や、ツアー・オブ・カリフォルニアでも活躍したケルデルマンのマイヨ・ヴェール獲得なども観るものにインパクトを与える走りでした。

大会後、ツールメンバー落選の発表があった土井選手も逃げやスプリンターのための動きでアピール。

今後はブエルタでの活躍に期待したいものです。

 

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネオフィシャルサイト

http://www.letour.fr/indexCDD_fr.html

 

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