最後の3ステージのReviewと、戦評をまとめてみたいと思います。

まぁいつものごとく、戦評は結構な偏りがありますので軽く読み流す程度でお願いします(笑)。

 

第1~3ステージのReviewはこちら

第4~7ステージのReviewはこちら

第8~11ステージのReviewはこちら

第12~15ステージのReviewはこちら

第16~18ステージのReviewはこちら

 

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ジロ・デ・イタリア-5月5-27日

 

●第19ステージ(Treviso~Alpe di Pampeago/Val di Fiemme、198km、難易度5)-5月25日

 

【結果】

1.ローマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) 6:18:03

2.ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) +19″

3.ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +32″

 

【総合(マリア・ローザ)】

1.ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 84:06:13

2.ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) +17″

3.ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +1’39”

 

●ポイント賞(マリア・ロッソ・パッショーネ)

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) 138pt

 

●山岳賞(マリア・アッズーラ)

マッテオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア) 65pt

 

●ヤングライダー賞(マリア・ビアンカ)

リゴベルト・ウラン(コロンビア、SKY) 84:09:34

 

●チーム総合

モビスター 251:17:10

 

フルリザルト(公式サイト)

 

5つのカテゴリー山岳を通過し、獲得標高5000m超えの超級山岳ステージ。

ゴール地点となるパンペアーゴを2回通過。

ゴール前3kmは最大勾配16%、平均勾配11.7%の高難易度。

 

山岳を進むにつれ逃げ集団がばらける中、メイン集団はリクイガスとカチューシャが中心でコントロール。

1回目のパンペアーゴ通過時点でメイン集団は30人ほどに。

 

最後から2つ目となる2級山岳でメイン集団からカタルドとクロイツィゲルがアタック。

逃げ続けていたカザールとピラッツィに追い付くと、そのまま2回目のパンペアーゴへ。

 

残り4kmを切ってクロイツィゲルが飛び出すと、他の3人は対応できず。

一方のメイン集団では、残り3kmを前にスカルポーニがアタックすると、総合上位勢のみが生き残る展開に。

スカルポーニのハイペースの牽きに各選手徐々にダメージを受け、最後まで食らいついたのはヘシェダルのみに。

 

第17ステージでまさかの惨敗を喫したクロイツィゲルは最後まで意地を見せ、最後は追い詰められながらも雪辱となるステージ優勝のゴールへ。

2位争いは、残り1100mでアタックしスカルポーニを振り切ったヘシェダルが19秒遅れでゴール。

ゴール目前でスカルポーニを逆転したロドリゲスに対し13秒差を付け、総合でも17秒差に。

終盤のハイペースに屈したバッソはトップから55秒遅れの6位でのゴールとなり、総合でも1分45秒遅れに。

 

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●第20ステージ(Caldes/Val di Sole~Passo dello Stelvio、219km、難易度5)-5月26日

 

【結果】

1.トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) 6:54:41

2.ダミアーゴ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +56″

3.ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +2’50”

 

【総合(マリア・ローザ)】

1.ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 91:04:16

2.ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) +31″

3.ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +1’51”

 

●ポイント賞(マリア・ロッソ・パッショーネ)

ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 139pt

 

●山岳賞(マリア・アッズーラ)

マッテオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア) 84pt

 

●ヤングライダー賞(マリア・ビアンカ)

リゴベルト・ウラン(コロンビア、SKY) 91:09:08

 

●チーム総合

ランプレ・ISD 272:34:29

 

フルリザルト(公式サイト)

 

今大会のチマコッピ・ステルヴィオでの最終決戦となった第20ステージ。

5つのカテゴリー山岳が控え、ステルヴィオの1つ前には1級山岳・モルティローロがそびえる難コース。

 

レース前半の第18ステージの勝者であるグアルディーニらスプリンターを中心に、上りでチームカーにつかまった選手たちが次々と失格になるハプニングはあったものの、前方では順調に距離を消化。

モルティローロでは逃げメンバーからザウグが1人抜け出し、激坂をクリア。

メイン集団からは総合8位に付けるデヘントがアシストのカラーラとともに飛び出し、そこにクネゴらが乗る展開に。

 

ステルヴィオに突入すると、ザウグにデヘントらが合流。

続いてニエベらも加わり、総合ジャンプアップを狙って登坂に入ります。

メイン集団はこの時点で総合上位勢だけしか残っていない状態。

 

残り20kmを切ってデヘントがアタックすると、ニエベとクネゴだけが反応。

そこから残り13kmを切って再びデヘントが攻撃を仕掛けると、いよいよ独走態勢に。

メイン集団ではヴァンデヴェルデがヘシェダルのために牽き続けるも、デヘントとの差は開く一方。

ヴァンデヴェルデが仕事を終えると、総合上位勢によるお見合いとなり、翌日のTTを見据え最もマリア・ローザに近くなっているヘシェダルが自ら牽かされる格好に。

 

あわやバーチャルマリア・ローザかというところまでタイム差を広げたデヘントは、驚異的な走りで完璧なステージ優勝。

TTを得意とすることもあり、一躍総合優勝候補に。

デヘントから後れをとったものの、自分のペースを貫いたクネゴが2位、ニエベが3位に。

 

総合争いは、ヘシェダルのペースにまずはバッソが脱落。

そしてスカルポーニがアタックすると、ヘシェダルとロドリゲスが遅れます。

しかし、ゴール直前で猛追したロドリゲスがゴール前でスカルポーニをパスし、そのまま4位でゴール。

その12秒差でスカルポーニが、さらに14秒差でヘシェダルがゴール。

 

総合争いはロドリゲスとヘシェダルが31秒差で最終ミラノでのTTに臨むことに。

また、2分18秒差の総合4位までジャンプアップしたデヘントの逆転表彰台はおろか、総合優勝の可能性も出てくる形に。

また、ロドリゲスはこの日ステージ4位となり、マリア・ロッソ・パッショーネをカヴェンディッシュから奪取することに成功し、最終ステージを前にポイント賞をほぼ手中に収めました。

 

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●第21ステージ(Milano~Milano、28.2km、難易度3)-5月27日

 

【結果】

1.マルコ・ピノッティ(イタリア、BMCレーシングチーム) 33:06

2.ジェラント・トーマス(イギリス、SKY) +39″

3.ジェシー・サージェント(ニュージーランド、レディオシャック・ニッサン) +53″

 

フルリザルト(公式サイト)

 

ここまでグルペットでやり過ごしてきたTTスペシャリストにとって、最後の大チャンス。

また、総合争いも最終ステージまでもつれ、多くの見どころがありました。

 

この日の優勝候補筆頭とも言われたトーマスは期待にたがわず、33分45秒をマーク。

他を圧倒するスピードを見せ、更新は難しいと見られていました。

ところが、この大会は落車の影響もあり総合争いを諦めていたピノッティが本領を発揮。

33分06秒、平均時速にして51km/hをマーク。

余裕のステージ優勝となりました。

 

一方の総合争い。

総合4位のデヘントは第1計測ポイントで5位のタイム。

スカルポーニも13位のタイムで通過し、好ペースを刻みます。

ヘシェダルはデヘントを1秒上回るタイムで通過し、ロドリゲスはヘシェダルから29秒遅れのタイム。

この時点でヘシェダルのマリア・ローザ獲得の可能性が高まります。

第2計測ポイントではデヘントとヘシェダルが同タイム。

ロドリゲスはこの時点でヘシェダルに逆転を許し、厳しい状況に。

 

デヘントの勢いは衰えず、34分07秒の好タイムで5位に。

スカルポーニがデヘントから53秒遅れでゴールし、デヘントの3位以内が確定。

ヘシェダルは後半失速したものの、34分15秒で6位のタイムをマークし総合2位以内を確定させます。

そして最終走者のロドリゲス。

後半猛追したものの35分02秒、ヘシェダルから47秒遅れでゴールし、16秒差で総合2位に。

 

この結果、ヘシェダルが初のジロ総合優勝を飾りました。

 

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【総合(マリア・ローザ)】

1.ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) 91:39:02

2.ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +16″

3.トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) +1’39”

4.ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +2’05”

5.イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +3’44”

6.ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +4’40”

7.リゴベルト・ウラン(コロンビア、SKY) +5’57”

8.ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴCSF・イノックス) +6’28”

9.セルジオ・エナオ(コロンビア、SKY) +7’50”

10.ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) +8’08”

 

●ポイント賞(マリア・ロッソ・パッショーネ)

ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 139pt

 

●山岳賞(マリア・アッズーラ)

マッテオ・ラボッティーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア) 84pt

 

●ヤングライダー賞(マリア・ビアンカ)

リゴベルト・ウラン(コロンビア、SKY) 91:44:59

 

●チーム総合

ランプレ・ISD 274:19:46

 

フルリザルト(公式サイト)

 

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【戦評】

久々に最終ステージまでもつれる展開となったジロ・デ・イタリア。

ザックリとではありますが、ポイントを挙げてみたいと思います。

 

●総合

まずは何と言ってもヘシェダル。

総合上位を狙える選手であると言われていたものの、最終的にはマリア・ローザを獲得する最高の結果に。

山岳ステージでの安定感は勝利をもたらした要因と言えるでしょう。

それだけでなく、自ら積極的に攻撃に出る姿勢で他の選手の追随を許さなかった点も大きな要素。

さらには、TTTを含むタイムトライアルでの好走も光りました。

大会期間中、TTに強いとは言われていたものの、グランツールでのTT実績はそう高いものとは言えず、特にミラノステージに関しては未知数だっただけに、最後の最後での快走は見事。

今後は総合系ライダーとしてさらなる飛躍を図りたい。

 

ロドリゲスはまたも惜しい結果に。

これまでの敗因として多かったTTの改善が見られたのは収穫。

第10ステージの激坂ゴールで圧勝したように、上りでの一発を武器にここまで戦えることを証明した今大会でした。

ただ、上りでのハイペースを維持することをそう得意としていない分、終盤の難関山岳ステージで大きくアドバンテージを築けなかったのが最後の最後の響く形であったことは否めません。

とはいえ、ここ最近はグランツールのみに照準を絞る総合系ライダーが多数を占める中、シーズンを通してハイレベルで安定した成績を残す数少ない選手であることは間違いありません。

 

まさに“ダークホース”の名がピッタリと当てはまるのが総合3位のデヘント。

これまで“逃げ屋”として驚きのパフォーマンスを見せてきた選手でしたが、チマコッピを制した第20ステージの圧勝劇はその逃げ屋としての勘が活きたと言えそう。

かねてから評価の高かったTTのみならず山岳での強さも証明し、今後はベルギーを代表する総合系ライダーとしての道を歩んでいくことになりそう。

結婚式によるツール回避が既に決まっており、次のビッグレースはブエルタか。

 

ディフェンディングチャンピオンとして臨んだスカルポーニや、5位のバッソは今できうる最大限のレースをしたという印象。

スカルポーニはクネゴとのダブルエース態勢で臨み、最終的にはチーム総合優勝にもつなげる結果に。

しかし、たびたび仕掛けた攻撃が実らず、あと一歩及ばなかった印象。

一方バッソはシーズン序盤の絶不調から上手く立て直しての総合5位。

2年前のジロ総合優勝時とほぼ同じ歩みをしていただけに、今回も最も総合優勝に近い選手と見られていた時期もありましたが、最後は強力なアシスト陣が機能せず、自らも力尽きた格好。

 

今回はイタリア勢が総合表彰台に臨めないという事態となり、来年以降各チーム・選手たちがどう雪辱するか見もの。

最終的に総合6位とまとめたクネゴや、総合8位に入り復活したポッツォヴィーヴォらの奮起に期待。

 

マリア・ビアンカをチーム内で移動させ続けていたウラン、エナオのコロンビア人は今後に大きな期待を抱かせる結果を残しました。

ともにSKYの総合系を担う選手として、今後もウィギンスに続く存在として期待して良いでしょう。

 

●スプリント

ゴール前のテクニカルなコーナーなどでのトラブルが多発し、有力スプリンターたちが力を発揮できないステージが多かったものの、やはりカヴェンディッシュとゴスの2人が抜け出ていた印象。

 

特にカヴェンディッシュは鉄壁のリードアウトマンを揃え、3勝の活躍。

結果的にマリア・ロッソ・パッショーネの獲得にはいたらなかったものの、敢闘賞を獲得しかろうじて今回のジロで名を残すことに成功。

アシストが機能しなかったケースでも、他の有力選手の番手に付けて差し切る上手さを見せられる点で、一枚も二枚も他のスプリンターの上をゆく存在と言えそう。

 

第3ステージでチームにグランツール初勝利をもたらしたゴス。

第9ステージでの落車が響き、その後のステージで勝利を収めることができなかったものの、カヴェンディッシュに続くスプリンターの1人であることは間違いなし。

スピードマンの多いチームだけに、リードアウトが機能し好位置からスプリントを開始できれば、まだまだ勝利を量産するチャンスはあるでしょう。

 

昨年は上りスプリント、今年は大混乱のスプリントを制し、難しい状況での勝負強さに秀でたベントソや、第11ステージを勝利し第3ステージでの斜行の汚名を返上したフェラーリも十分評価に値する戦いぶり。

特にフェラーリは問題となった第3ステージ以外でもたびたび上位に食い込み、実力のあるところを見せていたことは見逃せません。

また、第18ステージでカヴェンディッシュを完璧に打ち負かした若きスプリンター・グアルディーニの勝利も称賛に値する走りでした。

 

●その他

TTスペシャリストとしての将来を嘱望されるフィニーは第1ステージを勝利し、マリア・ローザを3日間着用。

今後はどう成長するか注目の逸材。

 

昨年までNIPPOに所属し日本のレースでも大活躍したルビアーノが第6ステージを制し、一時は山岳賞争いのトップに。

元々の実力はもちろんですが、日本のレースで戦った選手たちにも世界へ羽ばたくチャンスがあることを意味する活躍だったと言えるでしょう。

 

そしてその山岳賞を奪取し、最後まで守り続けたラボッティーニ。

第15ステージでの劇的なステージ優勝は、今大会のハイライトの1つに数えられることでしょう。

まだプロ2年目、今後どこまで力を伸ばせるか期待の1人。

 

最終的に総合争いから後れをとったものの、第7ステージを制したティラロンゴや、第19ステージを制したクロイツィゲルの活躍は、アスタナチームの今シーズンの強さを裏付けるものでした。

シールドライエルスやカンゲルトといった若手のアシストとしての働きぶりも見事。

 

第16ステージで大逃げを決めたイザギレもエウスカルテルで今一番売り出し中の若手。

逃げを得意とする兄とは対照的に、ミドルツールなどでは総合力も発揮しており、将来的にはS・サンチェスやアントン、ニエベらに続く存在になる可能性も。

 

そして別府選手の2年連続の完走は外すことができません。

今年は第7ステージで逃げを決め、大きな期待を抱かせてくれました。

また、スプリント時のリードアウト前半部を担当し、たびたび集団を牽引する姿がありました。

今回のアシストとしての働きぶりは大会を通じて注目される存在となり、よりトップライダーとしての地位を確立した3週間であることは間違いありません。

次はやはり勝利が欲しいところ。

今シーズン中にぜひとも勝利を飾るシーンを見せてほしいものです。

 

ジロ・デ・イタリアオフィシャルサイト http://www.gazzetta.it/Speciali/Giroditalia/2012/it/

 

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