大本命によるよもやの独走劇に湧いた今年のパリ~ルーベ。

その興奮冷めやらぬ間に復習記事をまとめておきたいと思います。

 

———-

 

パリ~ルーベ(Compiegne~Roubaix、257.5km)-4月8日

 

【結果】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 5:55:22

2.セバスチャン・テュルゴー(フランス、ユーロップカー) +1’39”

3.アレッサンドロ・バラン(イタリア、BMCレーシングチーム) +1’39”

4.フアン・アントニオ・フレチャ(スペイン、SKY) +1’39”

5.ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ) +1’39”

6.ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク) +1’43”

7.マッテオ・トザット(イタリア、サクソバンク) +3’31”

8.マシュー・ヘイマン(オーストラリア、SKY) +3’31”

9.ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・バラクーダ) +3’31”

10.マールテン・ワイナンツ(ベルギー、ラボバンク) +3’31”

 

フルリザルト(公式サイト)

 

レース序盤は逃げがなかなか決まらず、最初の1時間のスピードは48km/h超のハイペース。

スタートから70km地点を前に12名の逃げがようやく決まります。

 

メイン集団では、石畳セクター21・Aulnoy-lez-Valenciennes-Famarsで大落車が発生。

集団前方に位置していたルカトルの落車をきっかけに多くの選手が巻き込まれ、一時集団が大きく2つに分断します。

しかし、これは最初の難所であるセクター16・アーレンベルグを前に1つに戻ります。

 

アーレンベルグでは逃げ集団にいたネットアップのヤノシュルケが派手に落車。

他3人が巻き込まれ、逃げ集団は8名に。

数分遅れて通過のメイン集団では有力選手が前方に位置し、比較的無難にクリア。

例年と同様、集団中程から後方にかけては落車やメカトラ、パンクなどといったトラブルで多くの選手が早々に脱落を余儀なくされます。

 

アーレンベルグ通過直後に、この大会のビッグ3の1人と目されたバランと毎年上位常連のフレチャがアタック。

他3選手とともに、一時はメイン集団から数秒のリードを奪います。

しかしこれは、スティーグマンを先頭固定に据えたΩクイック勢の追走で吸収されます。

その直後、今度はΩクイックのセカンドリーダー・シャヴァネルがアタック。

メイン集団のスピードは一気に上がることとなります。

 

ライバルに対して揺さぶりをかけたシャヴァネルは残り60km地点を越えてパンクで足止め。

それと入れ替わる格好で、今度はΩクイックの絶対的リーダー・ボーネンが最大のライバルであるポッツァートを引き連れてアタック。

そこへテュルゴー、バラン、テルプストラが合流。

いよいよボーネン・ポッツァート・バランのビッグ3が最初の仕掛けに入ったかと思いきや、ポッツァートとバランが集団へ戻ることを選択。

2人の判断を逆手に取ったボーネンがチームメートのテルプストラとともにアタック。

テルプストラも戦術的理由で集団へ戻ることを選択し、ボーネンが独走を開始。

この時点でゴールまで残り53km。

 

ボーネンは石畳を有効に使い、追走集団との差を徐々に広げます。

一方、追走集団はフレチャ、ボアッソン・ハーゲン、ヘイマン、スタナードと揃えたSKYを中心に追うも、集団に戻ったテルプストラが上手くローテーションを崩し追撃態勢がとれない状況。

そんな中、ポッツァートがコーナーで落車し、戦意喪失。

激しさを増すレースは、1人また1人と集団からふるい落とされ、最終的にフレチャ、ボアッソン・ハーゲン、ヘイマン、ボーム、バラン、テルプストラ、トザット、ファンスーメレン、ワイナンツ、ラダニュー、グアルニエリのメンバーに追走集団が絞られます。

 

最後の難所、セクター4・カルフール・ド・ラルブルもボーネンは悠々クリア。

追走集団では、ボームがアタック。

これによりフレチャ、バラン、ラダニューが合流。

その後ラダニューはパンクで脱落。

ボーム・フレチャ・バランの3人による2位争いの様相となります。

 

ルーベの街に入ると、ボーネンは勝利を確信しテレビカメラにも余裕のアピール。

おなじみのヴェロドロームでは大歓声の中、ゴールまでの1周半をウィニングラン。

最後はこの大会通算4勝目をアピールしながら、歓喜のガッツポーズでゴール。

53kmにわたる逃げで、後続に1分39秒差を付ける圧勝劇となりました。

 

2位争いは、前記3人がヴェロドローム前から牽制状態。

そこへ後方からテルプストラとテュルゴーが合流。

5人によるゴールスプリントはテュルゴーとバランがほぼ同時にゴール。

結果、テュルゴーが2位、バランが3位。

 

最終的に、17分17秒遅れでゴールしたスティーグマンとアイゼルを最後に、それ以降の選手たちはタイムアウト。

出走181人中ゴールが認められたのは86選手。

ゴールしたものの、タイムアウトになった選手は27名。

その中には、このレースが引退レースとなるゲドンも含まれています。

 

セクター16・アーレンベルグ

 

セクター10・モンサン・ぺヴェル

 

セクター5・Camphin-en-Pévèle

 

セクター4・カルフール・ド・ラルブル

 

【優勝予想アンケート結果】

4/6~8に実施した優勝予想アンケートの結果(得票数23、小数点以下四捨五入)

 

トム・ボーネン 52%

トル・フスホフト 17%

フィリッポ・ポッツァート 9%

シルヴァン・シャヴァネル 4%

ジョン・デゲンコルブ 4%

Other 9%

 

ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

次回は4/15開催の「アムステルゴールドレース」での実施を予定しております。

できれば、ですが…。

 

【戦評】

先のロンド・ファン・フラーンデレンの走りから、ボーネン・ポッツァート・バランのビッグ3との見方もあった今回。

蓋を開けてみると、ボーネンによる圧巻の独走優勝となりました。

 

この大会4回目の優勝となったボーネン。

E3ハレルベケ、ヘント~ウェヴェルヘム、ロンド・ファン・フラーンデレン、そしてパリ~ルーベの“北のクラシック”4連勝は史上初。

2回目のロンド&ルーベW制覇も史上初。

前人未到の記録を大勝利で飾りました。

 

ボーネンにとって、この4連勝はいずれも異なる形での勝利でした。

自ら動いて活路を見出したE3、チームメートの強力アシストで勝利を引き寄せたヘント、他選手の動きに乗じて上手く展開したロンド、そしてほぼ自らの力のみで歓喜のゴールを迎えたルーベ。

石畳を伴うレースであれば、いずれの戦法にも対応できるマルチさが目立ちました。

特に後続とのタイム差の拡大は石畳区間で顕著だったことを見ても、パヴェを走るテクニックはもとより、他を圧倒するパワーもあることを証明しました。

ここ数年にはなかった好調さは、今回のレースのように一見無謀な賭けとも捉えられる走りをも可能にしてしまう、サイクルロードレースの真髄を見せてくれたような気がします。

クラシック後の休養を前に、来週はアムステルゴールドレースに出場予定。

今ならどんな条件で、どんな展開で、どんなコースででも素晴らしい走りを見せてくれるような気がします。

 

2位のテュルゴーは大金星に匹敵する走りを見せました。

これまでもチーム内での北のクラシック要員だったとはいえ、今年に入って完全にブレイク。

オムループ・ヘット・ニュースブラッドの16位を皮切りに、E3ハレルベケ10位、ロンド26位、直線のスヘルデプライス8位ときての、ここでの2位。

最後はかねてから定評のあるスプリント力を発揮しました。

特に、中盤でアタックを見せ自らレースを動かそうとする姿勢を見せ、その後も集団で粘った走りは見事。

前記した、ここまでの流れを見る限り、今回の結果は決してフロックではなさそう。

来年以降注目の存在となりそうです。

 

ビッグ3の1人、バランはほぼ“定位置”の3位。

この日のレース展開的に、上手く自分の流れに持っていけなかった印象。

中盤で集団のペースが緩んだ間隙を縫ってアタックしたものの失敗、その後のボーネンの動きに一度は乗じたものの結局乗り切れず。

以降はチームメートが落車や脱落し、完全に孤立した状態でレースを展開せざるを得なかったのが惜しい。

ようやく良い動きを見せられていたフスホフトの落車脱落は、バランにとっても痛手だったと言えるかもしれません。

そうした中でもリザルト的にまとめてくるところがバランらしさ。

あとは勝つための“決定力”が欲しいところ。

 

上位常連のフレチャもほぼ“定位置”と言える4位。

追走集団内で最もボーネンへの追撃姿勢を見せていた選手かもしれません。

しかし怪我明けで定評あるアタックが空振りだったこと、人数を揃えていたアシストが上手く機能しなかったことなど、これまた展開を味方に付けられなかった点が痛かったか。

それでも4位、しかし4位…といったイメージの残る敗戦となりました。

スペイン人初のルーベ制覇は来年以降にお預けです。

 

どのレースよりも展開の読めないのがパリ~ルーベであるとはいえ、今後に期待の持てる若手と味を見せたベテランとが上手い具合に好リザルトをマークした今年のレースでもありました。

ボーネンを勝たせるためにおとりとなったテルプストラ、シクロクロス上がりでクラシックの大器として毎年期待されてきたボームは、いよいよ第一線で優勝を争える顔になったと言って良いでしょう。

特にカルフール・ド・ラルブルで見せたボームのアタックは、「もしかしたらボーネンに追い付くのではないか」と期待を持たせたほど。

2人とも独走力には定評があるだけに、来年以降が楽しみ。

終盤でのパンクもあり最終的に12位に終わったラダニューも、トラブルさえなければと思わせる走り。

スプリントに強く、期待のフランス人選手として押さえておきたい。

また、長年ボーネンに仕えてきたトザット、同様にフレチャに仕えてきたヘイマンもそれぞれ6位、7位といぶし銀の走り。

ディフェンディングチャンピオンのファンスーメレンも9位に入り、去年の優勝が「勝つべくして勝った」ことを証明した走りをしました。

 

ビッグ3の残る1人、ポッツァートは落車をきっかけに集中力が切れ、最後はリタイア。

1つのミスで戦意を喪失するメンタル面が問題視されそうです。

いずれにしても、怪我が快方に向かい状態が良いのは明らか。

来月に迫ったジロ・デ・イタリアでの走りに期待したいところです。

 

パリ~ルーベオフィシャルサイト http://www.letour.fr/indexPRX_us.html

 

【関連記事】

パリ~ルーベ-Preparation

パリ~ルーベ2012・優勝予想アンケート

 

広告