先に開催されたE3ハレルベケとは若干趣は異なり、ピュアスプリンターにも多くのチャンスがあるのがこのヘント~ウェヴェルヘム。

したがって、激しい石畳と急坂がコースに組み込まれる“北のクラシック”の中でも、多くのスプリンターが今年も参戦。

そんなスプリンターズクラシックをReviewしたいと思います。

 

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ヘント~ウェヴェルヘム(Deinze~Wevelgem、234.6km)-3月25日

 

【結果】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 5:32:44

2.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

3.マッティ・ブレシェル(デンマーク、ラボバンク) s.t.

4.オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ) s.t.

5.エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ノルウェー、SKY) s.t.

6.ダニエレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン) s.t.

7.マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM) s.t.

8.スティーブ・シェネル(イタリア、FDJ・ビッグマット) s.t.

9.フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・セッレイタリア) s.t.

10.ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) s.t.

 

昨年から30km以上レース距離が伸び、急坂も14から11に減ったことがどうレースに影響するかが興味の1つと言われた今回。

 

レースは残り36kmで迎えた2回目のケンメルベルグで動き出します。

メイン集団のスピードを上げるオスの横からブレシェルが抜け出します。

それをきっかけにメイン集団はカチューシャやBMCがコントロール、集団の人数を減らしにかかります。

 

残り33km、メイン集団のスピードが一瞬緩んだタイミングでカンチェラーラがアタック。

サガンを引き連れて2人で先行します。

前を行く逃げ集団から脱落した選手たちを吸収し、7人程度でローテーションするも、残り25kmを前にΩクイックが中心となって牽くメイン集団に捕まります。

 

一方で、優勝候補筆頭とも言われたカヴェンディッシュやグライペル、ファラーなどがこのハイペースにまさかの脱落。

レース中盤でアタックも見せたジルベールもこの動きで後れを取る格好に。

カヴェンディッシュで勝負したいSKYが積極的に追走集団を牽くも、結局最後まで追い付くことができず。

 

残り15kmを前に、最後まで逃げ続けたルンドとイザギレが吸収。

レースは30人弱の集団でのスプリントにシフトしていきます。

また残り10kmを前に、これまた優勝候補のベンナーティがパンクに見舞われ、集団に追い付いたものの単独での動きとなったため脚を使い不利な展開になってしまいます。

 

いよいよ最終局面。

カチューシャ、グリーンエッジ、Ωクイック、ファルネーゼヴィーニなどがエースのために牽引する集団は残り1kmを切ってバランがアタック。

これをきっかけに一気に集団の動きがスプリントモードに。

ガットに放たれたポッツァートが仕掛けるも、フレイレとサガンがここぞのタイミングで加速。

しかし空いた中央のラインを無駄のない動きで差したのはボーネン。

見事2連覇を達成。

2位にサガン、3位は怪我から復活したブレシェルが入っています。

また、カヴェンディッシュの脱落によりSKYはボアッソン・ハーゲンで勝負したものの、ラインを塞がれた影響もあり5位にとどまっています。

 

E3での落車の影響無くこのレースに臨んだ新城選手もレース後半のペースアップで脱落。

最終的に7分08秒遅れの72位でゴールしています。

 

【戦評】

絶好調のボーネンがまたしてもビッグレース制覇。

これでシーズン7勝、単独で今シーズンの最多勝に君臨することになります。

 

勝因はΩクイックのアシスト陣による完全なレースコントロールにあったと言えるでしょう。

特に、集団が割れてからも十分な人数を残し、カンチェラーラやサガンの飛び出しに対しても冷静に対処。

ボーネンがコメントしているように、スティーグマンが終始献身的な働きを見せました。

アシストの働きにより、ボーネンはほとんど脚を使うことなく最後の局面を迎えられたのは大きかったはず。

そして勝利を決めたスプリントは、若干後ろの位置からとなったもののタイミングを計り、ぽっかり空いたスペースを自らのラインに。

これまでは先に仕掛けて他の追い込みをかわすケースが多かったゴールスプリントは、今回は差し切る形。

ピュアスプリントでは分が悪いとはいえ、クラシックの走り方は誰よりも上をいっているところを見せ付けたのではないでしょうか。

 

大魚を逃がしたのはサガン。

ラストのスプリントはフレイレの動きに釣られた感はあったものの、ボーネン以外の選手は完全に太刀打ちできていなかっただけに本当に惜しい結果。

レース後半でのカンチェラーラとともに逃げを打ったところで脚を多少使った部分も影響したか。

その一方で、あの場面でカンチェラーラの動きに反応していなければ全く違った展開もあったことを考えると、やれるだけのことはやっての2位とも言えそうです。

 

E3で復活した姿を見せていたブレシェルにとっては嬉しい3位。

特に2回目のケンメルベルグでの動きは、レースを左右する決定的なものでした。

レース終盤はワイナンツのアシストもあり、優勝は逃したもののスプリントに強いところも久々にアピール。

これでいよいよ“北のクラシック”でのラボバンクのエースとして、トップシーンに戻ってくることになります。

 

カヴェンディッシュの脱落により、完全に不利な展開となったのはSKY。

代役としてボアッソン・ハーゲンが勝負に行くのまでは予定通りだったとはいえ、マルカートとの絡み合いで思うような加速ができなかったのが敗因として挙げられます。

マルカートを手で跳ね除けてからの追い込みは優勝したボーネンよりも明らかに速く、スプリントでの位置取りさえ良ければ全く違った結果になっていたかもしれません。

 

200km以上にわたって逃げ続けたイザギレとルンドの走りも見事。

特に“北のクラシック”を不得手とするエウスカルテルとしては、集団に吸収された後も最後まで粘って15位フィニッシュは好結果と捉えていることでしょう。

また、ルンドのサクソバンクも絶対的エースとなるはずだったナイエンスを怪我で欠いて臨みながら、度々逃げてその選手が最終的に上位でゴールするなど健闘を見せています。

両チームとも、フランドルのレース期間は辛抱しながらわずかな可能性に賭けた走りを続けることになりそうです。

 

ヘント~ウェヴェルヘムオフィシャルサイト http://www.gent-wevelgem.be/

 

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