ティレニア海からアドリア海まで、海と海をつなぐサイクルロードレース界3月の風物詩。

直後に控えるミラノ~サンレモを占う最後の機会となったイタリアレースをReview。

 

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第1ステージ(San Vincenzo~Donoratico、16.9kmTTT)-3月7日

 

【結果】

1.グリーンエッジ 18:41

2.レディオシャック・ニッサン +17″

3.ガーミン・バラクーダ +17″

 

【総合】

1.マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ) 18:41

2.スヴェン・タフト(カナダ、グリーンエッジ) s.t.

3.セバスチャン・ランゲフェルド(オランダ、グリーンエッジ) s.t.

 

昨年に続きTTTで開幕。

 

最速タイムをマークしたのは注目の新チーム・グリーンエッジ。

平地系のスピードマンを多数擁したチームが2位に17秒差を付けて圧勝。

カンチェラーラがほぼ1人で牽き続けたレディオシャック・ニッサンは2位、TTTを得意とするガーミンが3位に入っています。

 

リーダージャージは、グリーンエッジの隊列の先頭でゴールしたエーススプリンターのゴスに与えられています。

 

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第2ステージ(San Vincenzo~Indicatore、230km)-3月8日

 

【結果】

1.マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) 6:32:32

2.オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ) s.t.

3.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) s.t.

 

【総合】

1.マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ) 6:51:13

2.スチュアート・オグレディ(オーストラリア、グリーンエッジ) s.t.

3.セバスチャン・ランゲフェルド(オランダ、グリーンエッジ) s.t.

 

●山岳賞

ステファノ・ピラッツィ(コルナゴ・CSFイノックス) 10pt

 

●ポイント賞

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) 12pt

 

●ヤングライダー賞

キャメロン・メイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ) 6:51:13

 

●チーム総合

グリーンエッジ 19:56:17

 

最初のスプリントステージは230kmの長丁場。

 

逃げを容認後のコントロールはもちろんグリーンエッジ。

タフトを中心に徐々に差を縮めていき、残り30kmを切って吸収。

 

リクイガス、SKY、ガーミンを中心としたスプリントポジション争い。

先頭で放たれたのはガーミンのファラー。

しかしボアッソン・ハーゲンの長い牽引に導かれたカヴェンディッシュが抜群のスピードで捲り。

フレイレらの追い上げを余裕でかわし、ステージ優勝を果たしました。

 

この日、残り1.7kmで激しい落車が起き、期待のスプリンター・マシューズがリタイアするアクシデント。

今後に不安を残しています。

 

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第3ステージ(Indicatore~Terni、178km)-3月9日

 

【結果】

1.エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ノルウェー、SKY) 4:45:31

2.アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) s.t.

3.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

 

【総合】

1.マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ) 11:36:44

2.スチュアート・オグレディ(オーストラリア、グリーンエッジ) +03″

3.キャメロン・メイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ) +03″

 

●山岳賞

ステファノ・ピラッツィ(コルナゴ・CSFイノックス) 13pt

 

●ポイント賞

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) 15pt

 

●ヤングライダー賞

キャメロン・メイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ) 11:36:47

 

●チーム総合

グリーンエッジ 34:12:56

 

前日に引き続き、この日もスプリントステージ。

 

逃げを容認してからは終始グリーンエッジとSKYによる集団コントロール。

残り10kmを切るとポジション争いが本格化。

BMCやランプレ、ラボバンクなども混ざっての激しい争いとなります。

 

ゴールを目前にテクニカルなコーナーを先頭で抜け出したのはボアッソン・ハーゲン。

早掛けからの逃げ切りはお手のものとばかりに、グライペルやサガンの追い込みを寄せ付けずゴール。

2日連続のSKYによる勝利は、前日はリードアウトマン、この日はスプリンターとして獅子奮迅の働きを見せたノルウェー人がもたらしました。

 

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第4ステージ(Amelia~Chieti、252km)-3月10日

 

【結果】

1.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 7:24:50

2.ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) s.t.

3.ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

 

【総合】

1.クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン) 19:01:54

2.ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +07″

3.キャメロン・メイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ) +13″

 

●山岳賞

ステファノ・ピラッツィ(コルナゴ・CSFイノックス) 23pt

 

●ポイント賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 27pt

 

●ヤングライダー賞

キャメロン・メイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ) 19:02:07

 

●チーム総合

アスタナ 56:28:41

 

今大会最長となる252kmのステージ。

ここで総合争いは最初のふるい落としがかけられます。

 

この日も山岳賞ジャージのピラッツィが逃げに入り、順調にポイントを獲得。

大差で山岳賞争いをリードします。

 

終盤に入り、リーダージャージのゴスがトラブルもあり脱落。

代わって主導権を握るのは、ニバリの総合ジャンプアップを狙うリクイガス。

ハイペースを維持しながらキエティの急坂を上っていきます。

 

残り1kmを切って仕掛けたのは、今年アックア・エ・サポーネに移籍したディルーカ。

強烈なアタックでリードを広げます。

それを追うべくクロイツィゲルがアタック、ニバリやホーナーらが反応し、サガンはニバリのフォローに入る展開。

ディルーカに追い付くとニバリがアタック、そのまま逃げ切るかと思われましたが徐々に失速。

それを見てチームメートにサガンが前へ出てそのままステージ優勝のゴール。

ニバリでの勝利を狙いながら、最終局面での失速でライバルの逆転を阻止するため代わりに自らが勝ちに行ったサガンのクレバーさが光ったレースでした。

クロイツィゲルが最後は2位に、ニバリは3位に入り、それぞれボーナスタイムをゲットしています。

 

そしてリーダージャージは、この日5位に入ったホーナーが獲得。

レース時間7時間を超える、超長丁場のステージでした。

 

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第5ステージ(Martinsicuro~Prati di Tivo、196km)-3月11日

 

【結果】

1.ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 5:46:33

2.ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +16″

3.クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン) +16″

 

【総合】

1.クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン) 24:48:39

2.ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +05″

3.ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +12″

 

●山岳賞

ステファノ・ピラッツィ(コルナゴ・CSFイノックス) 24pt

 

●ポイント賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 27pt

 

●ヤングライダー賞

キャメロン・メイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ) 24:50:02

 

●チーム総合

カチューシャ 73:52:26

 

総合争いが絞られつつある中でのクイーンステージ。

 

スタートから主導権を握ったリクイガスに代わり、最後の山岳でペースを上げたのはΩクイック。

ペーター・ベリトスでの勝利を狙います。

ロドリゲス、ティラロンゴ、グセフ、ノチェンティーニらが相次いでアタックしますが、いずれも決定的な動きにはならず。

 

残り4kmでニバリがアタック。

あっという間に後続を引き離し、20秒前後の差でゴールを目指します。

後方ではリーダージャージのホーナーを中心に追い上げを図る格好。

結局、ニバリはそのままのペースを維持して圧巻の頂上制覇。

最終的に2位ゴールのクロイツィゲルと3位ゴールのホーナーに対し16秒差を付け、現時点での格の違いを見せつける結果となりました。

 

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第6ステージ(Offida~Offida、181km)-3月12日

 

【結果】

1.ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 4:38:27

2.ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

3.ダニーロ・ディルーカ(イタリア、アックア・エ・サポーネ) s.t.

 

【総合】

1.クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン) 29:27:06

2.ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +05″

3.ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +06″

 

●山岳賞

ステファノ・ピラッツィ(コルナゴ・CSFイノックス) 24pt

 

●ポイント賞

ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 30pt

 

●ヤングライダー賞

ワウテル・プールス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) 29:28:30

 

●チーム総合

カチューシャ 87:48:23

 

翌日に控える最終TTを前に、総合上位を狙いたい選手にとっては最後のチャンス。

一方、総合上位の選手たちにとってはここでの取りこぼしは大きな痛手となります。

また、この日を持ってクラシック狙いの選手たちは次々とレースから離脱し、ゴスやボアッソン・ハーゲン、ジルベール、カヴェンディッシュらが最終調整モードに突入しています。

 

周回コース残り1周になりレースは激化。

急坂でのパンチ力に自信を持つプールスがまずアタック。

ディルーカ、リブロン、ポッツォヴィーヴォらも追随する形でメイン集団からの抜け出しを図ります。

しかしいずれも決定的なアタックにはならず。

 

そして一瞬の隙を突いて抜け出したのはロドリゲス。

この日のようなレイアウトを得意とするだけに、後ろを寄せ付けずそのままゴールに向かいます。

メイン集団はニバリのためにサガンが牽引し、他の有力選手のアタックを阻止。

結果、ロドリゲスが見事な逃げ切り勝利。

ここまで調整段階で目立つことのなかっただけに、ようやく良い走りを見せてくれました。

 

メイン集団は、最後まで脚を使わずに済んだニバリがスプリントを制し2位に。

ボーナスタイムを獲得しています。

この日を終え、リーダージャージをホーナーがキープ。

クロイツィゲルが5秒差、ニバリが6秒差と迫り、翌日の最終TTはこの3人による総合を賭けた争いとなりました。

 

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第7ステージ(San Benedetto del Tronto、9.3kmTT)-3月13日

 

【結果】

1.ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) 10:36

2.ダニエレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン) +12″

3.キャメロン・メイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ) +16″

 

今年も締めくくりはSan Benedetto del Trontoでの短距離TT。

 

この日活躍したのは、やはりカンチェラーラ。

アルカンシェル奪還を目指すクロノマンが9.3kmを52.641km/hで走り圧勝。

2位には、短距離TTを得意とするスプリンターのベンナーティが入り、レディオシャックでワンツー。

総合トップ10入りを狙ってスタートしたキャメロン・メイヤーも好走し、3位に入っています。

 

そして焦点は総合争いに。

トップ3のうち、最初にスタートしたニバリは落車の不安を抱かせるほどギリギリのコーナー攻め。

スピードを落とすことなく、得意のTTを10:56で終えます。

 

続いてスタートしたクロイツィゲル。

今年はまだTTポジションに苦心していることもあり、なかなかスピードに乗りきれない走り。

それをどこまでカバーできるかが見ものでしたが、ゴールタイム11:23秒と大きく遅れ、この時点で総合優勝争いから脱落。

 

そして大トリを務めるホーナー。

TTは特別得意とするわけではないものの、毎回ベテランなりのまとめを利かせる走りでまずまず上位にランクインするだけに、今回も期待を持たせてのスタート。

チームメートがこの日ワンツーのタイムを叩きだしていたこともあり、それが優位に働くかと思われましたが、最終的に11:16秒とニバリから大きく遅れることに。

 

この結果、総合優勝はニバリの手にわたることとなりました。

 

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【総合成績】

1.ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 29:38:08

2.クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン) +14″

3.ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +26″

4.リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディール) +53″

5.ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +1’00”

6.ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +1’16”

7.ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +1’16”

8.ワウテル・プールス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +1’25”

9.クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディール) +1’31”

10.キャメロン・メイヤー(オーストラリア、グリーンエッジ) +1’33”

 

●山岳賞

ステファノ・ピラッツィ(コルナゴ・CSFイノックス) 24pt

 

●ポイント賞

ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 32pt

 

●ヤングライダー賞

ワウテル・プールス(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) 29:39:33

 

●チーム総合

アージェードゥーゼル・ラモンディール 88:22:03

 

【戦評】

最終ステージまでもつれにもつれた総合争いは、イタリア期待のシチリア人に勝利の女神が微笑みました。

 

第6ステージを終え、3人に絞られた総合争い。

ニバリは、サガンを筆頭に層の厚いアシスト陣を味方に付けた盤石の戦いぶり。

第1ステージTTTでの遅れを徐々に取り戻しながら、最終のTTで逆転。

また、クイーンステージで見せた爆発力は、2月のツアー・オブ・オマーンのグリーンマウンテンでの勝利を彷彿とさせるもの。

勝負どころでのパンチ力は、グランツールでも十分に武器となることでしょう。

あとはTTでの安定性のアップが、一昨年のブエルタ以来のグランツール制覇のカギ。

 

ホーナーは昨夏の体調不良からの復帰戦を総合2位で飾りました。

惜しくもリーダージャージ堅守とはいかなかったものの、山岳アシストが揃っていないチーム構成の中で自らレースを組み立てての走りはベテランならでは。

今シーズン限りでの引退も噂される今年、グランツールをはじめ今後のステージレースでの走りに期待しても良さそうです。

 

TTでの失速が大きな痛手となったクロイツィゲル。

久々のステージレースでの活躍だったものの、今年に入ってから苦心していたというTTポジションに泣かされる結果に。

しかし山岳での安定した走りは評価に値するでしょう。

課題のTTポジションを固められれば、ビッグレースでの大活躍が再び見られるはず。

 

総合4位に入ったノチェンティーニの久々の好走や、ここまで音沙汰の無かったロドリゲスのステージ優勝、リブロンの積極的なレース運びなど、エンジンが徐々にかかり始めたベテランの活躍も見られました。

一方で、フーガーランドやプールスのヴァカンソレイユ勢、TTスペシャリストの色合いが強かったキャメロン・メイヤーといった若いライダーの総合トップ10入りも喜ばしい結果。

 

ミラノ~サンレモを控えた選手たちの動向も気になるところです。

 

スプリントステージで勝利を挙げたカヴェンディッシュ、ボアッソン・ハーゲンのSKY勢は順調な仕上がりと言えそう。

2人とも本番に向けて途中離脱をしていますが、さらにコンディションを上げてミラノのスタートラインに立つことでしょう。

 

一方、勝利を収められなかったスプリンターも黙ってはいないはず。

リーダージャージを3日間着用したゴスは、ここへきて調子が上がってきたイメージ。

集団コントロールに追われリードアウトが整わなかったこともありスプリントでは不発だったものの、昨年の勝利時同様アップダウンのこなし方次第で連覇を狙える状況になりそう。

第3ステージ2位のグライペルも発射台のヘンダーソン抜きでの布陣だったことが影響。

シーズン序盤からの飛ばしぶりのツケが出ていると見るのはまだ尚早ですが、本番となる今週末の戦いがどうか。

最終TT2位のベンナーティも調子が上がっているスプリンターの1人。

 

スプリント、中級山岳アシストとフル回転したサガンも楽しみ。

調子が上向いており、好調さキープのままミラノ~サンレモを迎えることでしょう。

最終TT優勝のカンチェラーラも、圧勝のストラーデビアンケからTTで活躍のティレーノと良い流れ。

4年ぶりの優勝に向け、ベンナーティとの2枚看板となりそう。

 

一方で不安を残したのはジルベール。

前半ステージでスプリントのポジション取りに動く姿は見られたものの、まだまだ自ら勝負できる状態にまでいたっていないのは誰が見ても明らか。

今年最初のビッグクラシックに向け、この数日でどれだけ仕上げてくるかが見もの。

 

オールラウンダー、スプリンターなど、プロトンの主役級のライダーで未だ調整段階の選手が多く、現状からグランツールの活躍を占うのは難しい段階。

ここから各選手がどのように調子を上げていくのかも、本格化するシーズンの楽しみとしたいところです。

 

ティレーノ~アドリアティコオフィシャルサイト

http://www.gazzetta.it/Speciali/TirrenoAdriatico/it/

 

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