ツアー・オブ・カタールとの連戦とはいえ、オールラウンド要素の高いツアー・オブ・オマーン。

活躍するライダーはスプリンターから総合系ライダーにバトンタッチします。

 

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第1ステージ(Al Alam Royal Palace~Wadi Al Hoqayn、159km)-2月14日

 

【結果】

1.アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 3:26:09

2.デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) s.t.

3.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) s.t.

 

【総合】

1.アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 3:25:59

2.デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) +04″

3.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +06″

 

●ポイント賞

アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 15pt

 

●ヤングライダー賞

デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) 3:26:03

 

●チーム総合

リクイガス・キャノンデール 10:18:30

 

●敢闘賞

アレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー) 5pt

 

まずは口火を切るスプリンターによる争い。

 

日本期待のブリヂストンアンカーのフランス人、ルメアが逃げで魅せます。

2つのスプリントポイントを1位、2位でそれぞれ通過し、この日の敢闘賞を獲得。

 

BMC、ロット、リクイガスなどが激しいポジション争いを繰り広げる中、まず仕掛けたのはラボバンクのブラウン。

そしてファラーが反応し、ガリムジャノフがチェック。

2人の後ろに付き、冷静にタイミングを見極めたグライペルが余裕の捲りでオープニングステージ優勝。

カタールで好調のボーネン、カヴェンディッシュはこの日上位に顔を出せずに終わっています。

 

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第2ステージ(Sur~Wadi Dayqah Dam、140.5km)-2月15日

 

【結果】

1.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 3:10:44

2.バーデン・クック(オーストラリア、グリーンエッジ) s.t.

3.トム・イェルテ・スラフテル(オランダ、ラボバンク) s.t.

 

【総合】

1.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 6:26:43

2.アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) +04″

3.バーデン・クック(オーストラリア、グリーンエッジ) +07″

 

●ポイント賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 21pt

 

●ヤングライダー賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 6:26:43

 

●チーム総合

レディオシャック・ニッサン 19:50:49

 

●敢闘賞

クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム) 6pt

 

コース後半の上り基調と、ゴール前のアップダウンが大きな特徴のステージ。

 

終盤のアップダウンで、カヴェンディッシュ、ゴスといったスプリンターの多くが脱落。

残り1kmを切ってペーター・ベリトスのアタックをきっかけに、集団が崩壊。

しかしペーターは後続を引き離すことができず、残り250mで吸収。

残った数選手によるスプリントを制したのはサガン。

まさにこのステージにピッタリの選手が狙い通りの勝利を収めました。

スプリンターのクックが健闘の2位、前日優勝のグライペルも4秒遅れの10位と粘りを見せました。

 

ブリヂストンアンカー勢はレバが6秒遅れの11位、清水選手が13秒遅れの23位と好リザルトをマークしています。

 

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第3ステージ(Al Awabi [Al Alya]~Muscat Heights [Bank Muscat HQ]、144.5km)-2月16日

 

【結果】

1.マルセル・キッテル(ドイツ、プロジェクト1t4i) 3:23:00

2.アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) s.t.

3.ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット) s.t.

 

【総合】

1.アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 9:59:41

2.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +2″

3.ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット) +8″

 

●ポイント賞

アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 28pt

 

●ヤングライダー賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 9:59:43

 

●チーム総合

レディオシャック・ニッサン 29:59:49

 

●敢闘賞

アレクサンドル・ルメア(フランス、ブリヂストンアンカー) 8pt

 

スタートからしばらくは下り基調、ゴール前はフラットなレイアウト。

 

第1ステージに続き、ルメアが敢闘賞狙いの逃げを敢行。

中間ポイントを獲得し、敢闘賞ジャージを奪還。

集団に吸収される直前には猛烈なアタックをするなど、その力を存分にアピールします。

 

スプリントを目前に、グリーンエッジやガーミンがコントロールするも、いずれもリードアウトマンが早くに力尽き隊列が乱れる格好。

最後はロットの発射台が長牽きを強いられる形となり、失速した隙を突いたキッテルがゴールへ一直線。

加速が遅れたグライペルをはじめ、キッテル以外のスプリンターがこぞってライン取りに苦心し、後塵を拝する結果に。

大外からの逆転を狙ったカヴェンディッシュも、ブアニの寄せにより塞がれてスプリントを途中で断念。

そのブアニが3位に入り、今大会好調なところを見せました。

 

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第4ステージ(Bidbid [Nafa’a]~Al Wadi Al Kabir、142.5km)-2月17日

 

【結果】

1.アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 3:37:02

2.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

3.トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン) s.t.

 

【総合】

1.アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 13:36:33

2.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +06″

3.ナセル・ブアニ(フランス、FDJ・ビッグマット) +18″

 

●ポイント賞

アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 43pt

 

●ヤングライダー賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 13:36:39

 

●チーム総合

レディオシャック・ニッサン 40:50:55

 

●敢闘賞

クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム) 12pt

 

いよいよ総合順位に変動が起き始めるステージに。

終始アップダウンが繰り返され、スプリンターには苦しいステージ。

 

残り5kmを前にまず動いたのはニバリ。

それをシャバネルがチェック、ニバリのチームメイト・サガンもフォローに入ります。

ニバリのアタックは空振りに終わり、次はシャバネルがアタック、サガンがチェックに。

カザールなど数名が2人に追い付くも、スプリンターチームの必死のコントロールに屈します。

 

フラムルージュを過ぎてニバリが再度アタックしたものの不発。

このステージでは予想外のスプリント勝負は、カンチェラーラの早掛けに冷静に対応したグライペルが勝利。

際どい差でサガンが2位に。

 

最終的には48選手がメイン集団に生き残る結果に。

ブリヂストンアンカー勢は吉田選手がスプリントに参戦し16位。

総合で上位に付けるレバ、清水選手も余裕の集団ゴール。

このステージで再び敢闘賞ジャージを奪われたルメアは、明日以降のステージで再び奪還を狙います。

 

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第5ステージ(Royal Opera House, Muscat~Jabal Al Akhdhar [Green Mountain]、158km)-2月18日

 

【結果】

1.ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) 4:43:47

2.ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ) +10″

3.サンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット) +25″

 

【総合】

1.ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ) 18:20:58

2.ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +01″

3.トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン) +17″

 

●ポイント賞

アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 43pt

 

●ヤングライダー賞

トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン) 18:21:15

 

●チーム総合

レディオシャック・ニッサン 55:05:40

 

●敢闘賞

クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム) 15pt

 

総合成績を決定づけるクイーンステージ。

やはり制したのは登坂力に長けた選手でした。

 

頂上ゴールとなるグリーンマウンテンに入り仕掛けたのはニバリ。

前日のステージでも積極性を見せ、状態の良さをここでも発揮。

一時はペーター・ベリトスのチェックもありアタックの脚を緩めますが、この動きで集団が崩壊。

スプリンターはもとより、総合2位につけていたサガン、この大会に意気込みを見せていたバランなどが次々と脱落。

 

集団が15人程度に絞られたところでニバリが再びアタック、ゴールまで突き進みます。

ニバリを追う集団の先頭には清水選手の姿が。

 

ニバリがクイーンステージを制覇。

2位にはテンポで上り続けたベリトスが入り、総合トップに。

カザール、ジャヌソンのFDJコンビが3位、4位に入線。

 

最終局面まで集団で勝負したレバが8位、清水選手が13位と、トップライダーに混じって大健闘。

それぞれ総合9位、13位にジャンプアップして最終ステージを迎えます。

 

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第6ステージ(Al Khawd~Matrah Corniche、130.5km)-2月19日

 

【結果】

1.マルセル・キッテル(ドイツ、プロジェクト1t4i) 3:11:04

2.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

3.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) s.t.

 

最終ステージは恒例の首都・マスカットゴール。

とはいえ、総合でベリトスとニバリの差が1秒とあり、中間ポイント次第では逆転もあり得ます。

 

その中間ポイント、1つ目は逃げメンバーが獲りますが、2つ目はΩクイックとリクイガスの熾烈な争いに。

Ωクイックはエーススプリンター・ボーネンを、リクイガスはサガンを送り込んだものの、肝心のニバリがポイントを獲れず。

ゴールポイントでの逆転の可能性はあるものの、スプリンターの存在を考えると事実上総合はベリトスのものに。

 

最後のスプリント。

グリーンエッジからガーミンに主導権が移り、ファラーにとっては絶好の形で加速へ。

しかしここで地力を見せたのがキッテル。

ゴール前の右カーブを外から、自らの脚のみで捲るスーパースプリント。

ステージ2勝目を最高の形で飾りました。

 

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【総合成績】

1.ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ) 31:32:02

2.ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +01″

3.トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン) +17″

4.サンディ・カザール(フランス、FDJ・ビッグマット) +21″

5.アルノルド・ジャヌソン(フランス、FDJ・ビッグマット) +30″

6.トム・イェルテ・スラフテル(オランダ、ラボバンク) +30″

7.ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +47″

8.ラムナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ) +49″

9.トマ・レバ(フランス、ブリヂストンアンカー) +50″

10.ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) +52″

 

●ポイント賞

ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 53pt

 

●ヤングライダー賞

トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン) 21:32:19

 

●チーム総合

レディオシャック・ニッサン 64:38:52

 

●敢闘賞

クラース・ロデウィック(ベルギー、BMCレーシングチーム) 15pt

 

【戦評】

アップダウンが多く、スプリンターのみならずグランツールで総合上位を目論む選手たちの調整レースとしての意味合いも強かった今回。

 

まずはスプリンター。

それぞれステージ2勝を挙げたグライペル、キッテルの存在が際立っていました。

 

グライペルは第4ステージを制したように、多少の上りは難なくこなせる強さを身に付けた印象。

スプリント以外にクラシックでのアシストを担った昨シーズンの経験が今に活きているという見方をしても良いかもしれません。

 

一方のキッテルも、トップスプリンターを十分に渡り合えるだけの力を発揮。

トレインを必要とせず、当たり負けしない大きな体躯を活用したポジション確保ができるのが強み。

仮に若干後ろ目からのスプリントを余儀なくされても、抜群の加速力でゴール直前で逆転するパターンも形になってきています。

昨年のブエルタに続くビッグレースの勝利が、今年は何度も見られる予感をさせてくれる走りでした。

 

シーズン序盤から常に上位に顔を見せているファラーは、最終ステージでトレインが形になり次につながる終わり方。

3月開催のステージレースでは理想形からの勝利の量産もありそうです。

 

カタールで好調だったボーネンは2月末からのベルギーレースに向けて無理をしなかった様子。

カヴェンディッシュもなかなかスプリントの形に持っていけずに苦戦を強いられましたが、状態は悪くないでしょう。

その他、ブアニのがんばりも光っていました。

 

続いて、総合上位勢について。

 

総合2位に終わったものの、クイーンステージを圧倒的な強さで制したニバリ。

第4ステージまではサガンのアシストを務めていたこともあり、トップから数秒落としてゴールしていたのが最終的に総合成績に影響しましたが、全く問題無いでしょう。

それ以上にグリーンマウンテンで見せた爆発力を評価すべき。

これまではTTの強さを合わせた安定した総合力でグランツールの上位に名を連ねてきましたが、今年は勝負どころで決め手となり得るアタックが武器になりそう。

それも、一度ダメなら二度、三度と仕掛けられるだけの強さがありそうです。

 

総合優勝のベリトスは、グリーンマウンテンで大崩れしなかったことがタイトル獲得の要因でしょう。

一昨年のブエルタ3位は鮮烈な印象を残しましたが、昨年はスプリントトレインの役割が強く総合争いには加われなかっただけに、チーム移籍を機に自身の勝負に集中できる環境が整ったか。

アシストできる選手も揃っているだけに、グランツールでは再び上位争いに顔を表しそうです。

 

3位以降は第4,5ステージで勝負できた選手が並びました。

ギャロパン、カンチェラーラの2人をトップ10に送り込みチーム総合を制したレディオシャック、カザールとジャヌソンを総合4,5位に送り込んだFDJなどは総合力の高さをアピール。

総合6位のスラフテル、8位のナヴァルダウスカスといった若手の上位進出も評価したいところです。

特に2人とも将来を嘱望される選手だけに、ここでの活躍は1つのきっかけにしてほしいもの。

また、総合優勝候補でもあったロドリゲスは総合7位で終え、無難なシーズンスタートを切りました。

 

ブリヂストンアンカーの活躍も忘れてはなりません。

最終的にレバが総合9位、清水選手が総合13位、ルメアが敢闘賞2位と、新体制のチームとしては時期と出場チームを見ればこれ以上ない結果。

特に第5ステージで果敢に挑み集団を牽く場面もあった清水選手の走りは、ファンに大きな勇気と希望を与えてくれました。

ステージ10位以内を狙って臨んだ今回、レースが進むにつれレバと清水選手が総合狙い、ルメアが敢闘賞狙いの逃げ、吉田選手がスプリントと明確な役割ができたのも活躍の要因と言えそう。

この大成功で、他チームや関係者からも声をかけられるなど、認められる存在となりつつあります。

今後もフランスレース中心に転戦するチームですが、早い段階での勝利に期待したいです。

 

ツアー・オブ・オマーンオフィシャルサイト

http://www.letour.fr/us/homepage_courseTOO.html

 

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