シーズン序盤のスプリンターの祭典ともいえるツアー・オブ・カタール。

今年は3年ぶりに“カタールマイスター”が輝きを放った大会となりました。

 

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第1ステージ(Barzan Towers~Doha Golf Club、142.5km)-2月5日

 

【結果】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 3:11:32

2.アダム・ブライス(イギリス、BMCレーシングチーム) s.t.

3.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

 

【総合】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 3:11:22

2.アダム・ブライス(イギリス、BMCレーシングチーム) +4″

3.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +6″

 

●ポイント賞

トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 15pt

 

●ヤングライダー賞

アダム・ブライス(イギリス、BMCレーシングチーム) 3:11:26

 

●チーム総合

オメガファーマ・クイックステップ 9:34:36

 

各チームのエーススプリンターの調整具合を測ることのできるオープニングステージ。

 

ToQ特有の集団が縦長になる展開。

一時ガーミンのトレインが好位置をキープする場面があるもすぐに隊列が崩れ、他チームも上手くトレイン形成できない状態。

そんな中、抜群のタイミングで前方に上がったスティーグマンを発射台に加速したボーネンがこの大会通算19勝目となるステージ優勝。

 

エーススプリンターのポジション取りに力を注いだ別府選手は集団内でゴール。

そして、船出のレースとなったブリヂストンアンカー勢も、終盤脱落した吉田選手、西薗選手を除き無難なスタートを切っています。

 

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第2ステージ(Lusail~Lusail、11.3kmチームTT)-2月6日

 

【結果】

1.ガーミン・バラクーダ 12:38

2.オメガファーマ・クイックステップ +7″

3.SKY +9″

 

【総合】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 3:24:07

2.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) s.t.

3.ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・バラクーダ) +3″

 

●ポイント賞

トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 15pt

 

●ヤングライダー賞

ラムナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ) 3:24:10

 

●チーム総合

ガーミン・バラクーダ 9:47:14

 

11.3kmとTTTにしては短めの距離とはいえ、チームの総合力・組織力を占うには十分なステージ。

エーススプリンターで総合優勝を狙いたいチームにとっては、チームリーダーを守りながら、そしてトラブルなく走りきることが大前提となります。

 

そんな中、TTTでは決して外すことのないガーミンがここでも力を発揮。

2位に7秒差を付けて優勝。

そして、前日ステージ優勝のボーネンを据えるΩクイックが大健闘ともいえる2位。

シーズン序盤からチームが絶好調であることをここでも証明しました。

 

UCIプロチームが上位11位までを占め、その次にプロコン勢が、コンチネンタル勢が下位に沈み、チーム力の差がはっきりと出る結果となりました。

ブリヂストン・アンカーは1分11秒遅れの15位でゴールしています。

 

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第3ステージ(Dukhan~Al Gharafa Stadium、146.5km)-2月7日

 

【結果】

1.マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) 3:23:48

2.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) s.t.

3.アイディス・クルオピス(リトアニア、グリーンエッジ) s.t.

 

【総合】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 6:47:49

2.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +6″

3.マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) +8″

 

●ポイント賞

トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 27pt

 

●ヤングライダー賞

リュディガー・セリグ(ドイツ、カチューシャ) 6:48:07

 

●チーム総合

ガーミン・バラクーダ 19:58:44

 

ブリヂストン・アンカーのアレクサンドル・ルメアが逃げに入る活躍を見せたこのステージ。

残り40kmから横風を利用した集団分断が激しくなり、有力選手が数多く後方に取り残される形に。

我らが別府選手もその1人で、上位争いに加わることができず。

 

ゴールに向かったペースが上がる一方のメイン集団は、複数の選手を送り込んだガーミン・Ωクイック・SKYが主導権を握る展開。

スプリントはスティーグマンの強力な引き上げから発射されたボーネンが一度は飛び出すも、リタイアしたアポローニオに変わり最終リードアウトを務める職人・アイゼルが上手くボーネンをチェック。

そのアイゼルが他選手の寄せでボーネンのチェックを外した一瞬を逆に利用したカヴェンディッシュが一気の加速、今シーズン初勝利を挙げました。

また、同様にボーネンのチェックに入っていた若手注目株・クルオピスが3位に入線。

 

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第4ステージ(Al Thakhira~Madinat Al Shamal、144km)-2月8日

 

【結果】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 3:03:14

2.トム・フィーラース(オランダ、プロジェクト1t4i) s.t.

3.ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) s.t.

 

【総合】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 9:50:50

2.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +31″

3.フアン・アントニオ・フレチャ(スペイン、SKY) +34″

 

●ポイント賞

トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 45pt

 

●ヤングライダー賞

ラムナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ) 9:51:59

 

●チーム総合

オメガファーマ・クイックステップ 29:08:48

 

今大会のハイライトとなった第4ステージ。

 

まず、ブリヂストン・アンカーの清水選手がエスケープ。

約70kmにわたって逃げ続ける果敢な走り。

 

このステージでも横風による分断が起き、終盤には40名弱の集団に。

そして残り5km、チームメートが全員脱落し孤立状態となっていたカンチェラーラが自ら勝負すべく強烈なアタック。

これにより集団があっけなく破壊、即座に反応できたのはBMCのブライスのみ。

しかしブライスはカンチェラーラのスピードに合わせてローテーションすることができず、単独で合流したフレチャ、アシスト2名に引き連れられたボーネン、脱落した選手を上手く風除けに使いながら猛然と追い上げたフィーラースが追い付き、最終局面へ。

 

こうなると、スプリント力で抜けるのがボーネンと、普段はキッテルの発射台を務めるフィーラース。

ボーネンは発射台のスティーグマンを残しており、圧倒的有利な展開。

カンチェラーラがロングスプリントを仕掛けるも、冷静に対処したボーネンが余裕の勝利。

総合上位勢に差を付けてゴールすることに成功し、総合優勝に向けて大きなアドバンテージを獲得しました。

 

さながら“北のクラシック”の主役となる選手たちが争ったこのステージ。

まさに今年の石畳を制する戦いを占うレースと見ても良いかもしれません。

 

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第5ステージ(Camel Race Track~Al Khor Corniche、160km)-2月9日

 

【結果】

1.マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) 3:30:34

2.ダニエル・オス(イタリア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

3.ペテル・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) s.t.

 

【総合】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 13:21:30

2.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +31″

3.フアン・アントニオ・フレチャ(スペイン、SKY) +34″

 

●ポイント賞

トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 45pt

 

●ヤングライダー賞

ラムナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ) 13:22:39

 

●チーム総合

オメガファーマ・クイックステップ 39:40:48

 

このステージでもブリヂストン・アンカーが躍動。

西薗選手が約120kmにわたる逃げを敢行。

いま最も可能性のある日本人選手の1人でもあるだけに、好アピールになったはず。

 

そして、ゴールはもちろんスプリント。

有力チームが入り乱れ、各チームともトレインが総崩れ。

スプリンターの位置取りの上手さと加速力による争いとなった局面を制したのは、やはりカヴェンディッシュ。

今大会2勝目、ここ数年では最高ともいえるシーズンインと言えるでしょう。

 

総合トップのボーネンは位置取りをミスしたこともあり、無理せず集団内でゴール。

前日までの2ステージで集団から遅れていた別府選手もこの日はアシストで力を発揮し、状態の良さを見せています。

 

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第6ステージ(Sealine Beach Resort~Doha Corniche、120km)-2月10日

 

【結果】

1.アルノー・デマール(フランス、FDJ・ビッグマット) 2:20:44

2.デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) s.t.

3.マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク) s.t.

 

昨年のU23世界チャンピオンがその才能を見せつけることとなります。

 

距離の短いステージとあって、スタートから超ハイスピード。

ドーハ・コルニッシュの周回コースを前に足きりとなる選手が続出。

 

やはりこのステージも各チーム入り乱れての位置取り合戦。

どのチームも主導権を握られない状況からのスプリント態勢に。

直後、カヴェンディッシュがマークをしていたファラーの後輪に触れ落車。

ファラーも勢いを失う形に。

その影響で集団が崩れる中、ラインを消されることなくスピードに乗ったデマールが見事な勝利。

 

昨年の世界選U23でのアルカンシェル獲得時も、抜群の加速力で勝利を収めたデマール。

今大会ベストメンバーを揃えたと言えるFDJ・ビッグマットにとっては大きな勝利となりました。

 

チームメートのデイヴィスをアシストした別府選手は、自らもスプリントして13位でゴール。

ブリヂストン・アンカーの吉田選手も、カヴェンディッシュの落車による集団崩壊の影響を受けながらも28位でゴールしています。

 

また、清水選手と西薗選手が早々に脱落し、周回コースを前に足きりという厳しい結果に終わっています。

 

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【総合成績】

1.トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 15:42:14

2.タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) +28″

3.フアン・アントニオ・フレチャ(スペイン、SKY) +33″

4.ヘルト・スティーグマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) +34″

5.トム・フィーラース(オランダ、プロジェクト1t4i) +1:00

6.マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY) +1:05

7.ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) +1:06

8.ラムナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ) +1:09

9.アイディス・クルオピス(リトアニア、グリーンエッジ) +1:10

10.アダム・ブライス(イギリス、BMCレーシングチーム) +1:14

 

●ポイント賞

トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 45pt

 

●ヤングライダー賞

ラムナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、ガーミン・バラクーダ) 15:43:23

 

●チーム総合

オメガファーマ・クイックステップ 46:43:00

 

【戦評】

カタール特有の風の影響で過去には波乱の展開もあっただけに、今年は果たしてどのようなレースになるのか注目されたところでしたが、結果的にはスプリンターによる争いに終始した格好となりました。

 

総合優勝のボーネンは、まさに“カタールマイスター”と呼ばれるにふさわしい戦いぶりでした。

ステージ2勝のほか、後塵を拝したステージでも安定して集団に残り、全く危なげない走り。

むしろ最後の2ステージは無理せずゴールしていた印象でした。

ボーネンの強さと言えば、かつて世界の頂点を極めたスプリントとそれを後押しする勝負勘、さらには“北のクラシック”に代表される悪条件のコースにおけるパワーを活かした抜群の独走力が挙げられると思います。

ここ数年は怪我の影響もあり、持ち味が影を潜めていた印象でしたが、相性の良いカタールで復活ののろしを上げたと言って良いでしょう。

もちろん、ボーネンを支えたアシストの働きも忘れてはなりません。

選手個々がしっかりと冬場のトレーニングをこなし、絶好調のチームをプロトンのトップに押し上げている姿は、これまでの低迷を忘れさせてくれるものがあります。

 

最終ステージでの落車もあり、結果的には総合6位に終わったカヴェンディッシュ。

しかし、総合成績以上にステージで挙げた2つの勝利は我々に鮮烈な印象を与えました。

例年この時期はトレーニングライド状態で、スプリントに絡めないことが多かっただけに、シーズン初戦で見せた圧巻のスプリントはアルカンシェルにふさわしいものと言えるでしょう。

今後さらに彼のスプリントを活かすべくトレインの改良なども行ってくるはず。

また、ウィギンスやフルーム、ボアッソン・ハーゲンといったスーパーエースたちとどのように共生していくかも見ものです。

 

第4ステージで生き残ったカンチェラーラ、フレチャ、フィーラースあたりも春のクラシックシーズンに期待が持てる走りを見せました。

特にフィーラースは昨年キッテルの発射台としてブエルタで大活躍したのが記憶に新しいですが、そこでの走りをきっかけに一段階上の走りができるようになった印象。

パリ~ルーベでは昨年27位、一昨年13位に入っており、今年は優勝争いに加わる可能性もありそう。

 

今シーズン初勝利はお預けとなったファラーも安定して上位に食い込み、総合2位。

トレイン形成はできているものの、その動き出しが若干早いのか、肝心のスプリントのタイミングでは既に崩れてしまっている感。

ジュリアン・ディーンが移籍した影響が少なからずあるかもしれません。

しかし、そこはヴォーターズ監督率いるチーム。

抜群の組織力で、クラシックシーズンまでには修正してくることでしょう。

 

日本人選手が目立った大会でもありました。

別府選手は早くも新チームにフィットし、信頼を勝ち得ている様子。

その証拠に、毎ステージ集団先頭に顔を出し、エーススプリンターを引き上げている姿がたびたび中継カメラに捉えられていました。

最終ステージでは自らもスプリント。

今年はこれまで以上にオールラウンドな働きが求められているだけに、その期待度も高いことでしょう。

 

ブリヂストン・アンカーは最終的に5名が完走。

日本人選手では、井上選手・吉田選手が無事ゴールしています。

リザルト以上に、積極的な逃げを見せ続けたことが高い評価につながりそうです。

吉田選手が最終ステージで見せたスプリントなども、これからのチームの活躍を予感させてくれるものとなりました。

一方で、レース終盤では集団の後方で走るのを余儀なくされていたこともあり、プロトン内でのリスペクトはまだ得られていない様子。

しかし、カタール・オマーンの連戦でその存在を知らしめることで、状況が大きく変わってくるに違いありません。

オマーンでの走りにも要注目です。

 

ツアー・オブ・カタールオフィシャルサイト

http://www.letour.fr/indexTQA_us.html

cyclowiredに掲載されたブリヂストン・アンカーのカタール参戦レポート

http://www.cyclowired.jp/?q=node/77145

 

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