総合に大きな動きのあった、ツアー・ダウンアンダー後半戦をReview。

 

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第4ステージ(ノーウッド~タヌンダ、130km)-1月20日

 

【結果】

1.オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ) 3:08:34

2.ゲラルド・チオレック(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) s.t.

3.ダニエレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン) s.t.

 

【総合】

1.マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシング) 15:03:34

2.マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク) +2″

3.オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ) s.t.

 

スプリンターによる争いが予想されたこのステージで、早くも総合に大きな変化が起こります。

 

逃げを全て吸収し迎えた残り29kmの1級山岳メングラーズヒルで、メイン集団が一気にペースアップ。

特に、総合で上位につけるローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア)がアタックしたことから、エースを上位に送り込みたいチームが追う展開に。

それまで総合トップだったグライペルが脱落すると、コーラー擁するBMCがコントロール。

 

50人弱に絞られた集団によるスプリントは、まずチオレックが勝負に。

しかし、この手のコースを得意としているフレイレが貫禄の勝利。

2012年シーズンでの引退を発表しているベテランが今年初勝利を挙げました。

 

メングラーズヒルで脱落したサクソバンク・宮澤選手はグルペットでゴール。

 

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第5ステージ(マクラーレン・ベール~オールド・ウィランガ・ヒル、151.5km)-1月21日

 

【結果】

1.アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 3:45:48

2.サイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ) s.t.

3.ティアゴ・マシャド(スペイン、レディオシャック・ニッサン) +2″

 

【総合】

1.サイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ) 18:49:24

2.アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) s.t.

3.ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック・ニッサン) +8″

 

今大会のクイーンステージ。

これまでウィランガ・ヒルでは、アルカンシェルを着たカデル・エバンスが大きな見せ場を作るなどクライマックスにふさわしいポイントでありながら、ゴールまで約20kmあったことから総合狙いの選手がスプリンターチームのコントロールに屈するケースばかりでした。

今年は初めて丘の頂上にゴールが設けられ、パンチャーやクライマータイプの選手が総合上位を賭けて争うステージに様変わり。

 

まずステージを盛り上げたのは、我らが宮澤選手。

ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)、スチュアート・オグレディ(オーストラリア、グリーンエッジ)、トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)といった力のあるライダーとエスケープ。

メイン集団との差を8分まで広げます。

 

しかし、総合リーダー・コーラーを擁するBMC、バルベルデをエースに据えるモビスター、ジェランスで勝利を狙うグリーンエッジなどが集団のコントロールを開始すると、1回目のウィランガ・ヒルで逃げを全て吸収。

有力選手だけがメイン集団に残る展開に。

 

そして勝負を分ける2回目のウィランガ・ヒル。

今大会再三アタックを見せるローハン・デニスの動きをきっかけに、マシャド、ダニー・ペイト(アメリカ、スカイ)、ホセ・イヴァン・グティエレス(スペイン、モビスター)が飛び出します。

その後ペイトとグティエレスが脱落、アンヘル・マドラゾ(スペイン、モビスター)が集団から飛び出す場面があったもの、ゴールまで1kmを残し1つに。

集団前方にはバルベルデ、ジェランス、エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ノルウェー、スカイ)といった、戦前に総合優勝候補に挙げられていた選手が。

 

ゴール前の上りスプリント。

バルベルデ、ジェランス、ボアッソン・ハーゲンの3強から、まずボアッソン・ハーゲンが脱落。

それを見たチームメートのマイケル・ロジャースがロングスプリント。

チェックに入ったジェランスが一気に加速。

しかし、ジェランスの動きを冷静に見極めたバルベルデがゴール前で逆転し、ステージ優勝。

 

バルベルデは、2010年5月の出場停止以来のレースとなった今大会で復帰後初勝利。

ゴール後のインタビューでは涙を流すシーンも。

出場停止期間中もモビスターチームからの支援を受けてトレーニングをしていたとの情報もあり、自身のコンディションやチーム内での連携に問題が無いことを証明しました。

やはりレースを賑わす選手として欠かせない存在だけに、今後はクリーンな形で競技に臨んでくれると信じたいところです。

 

一方、ゴール前で逆転を喫したジェランス。

惜しくも敗れたものの、これまでのステージでコンスタントに上位に入っていたこともあり、同タイムながら総合トップに。

チームのワールドツアーデビュー戦を最高の形で終える可能性が高まりました。

 

レース前半を盛り上げた宮澤選手は、トップから12分2秒遅れでゴール。

 

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第6ステージ(アデレードシティ・カウンシルサーキット、90km)-1月22日

 

【結果】

1.アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 1:56:48

2.マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク) s.t.

3.アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) s.t.

 

最終ステージは、恒例のアデレード市街地コース。

総合1位と2位が同タイムとあり、それぞれを抱えるグリーンエッジとモビスターがどう動くかが焦点となりました。

 

蓋を開けてみると、グリーンエッジが終始コントロール。

ルーク・ダーブリッジやキャメロン・マイヤーがアタックし、チェックに入った選手と協力しながら中間のボーナスタイムをモビスターに与えない走り。

特にキャメロンの逃げは効果的で、総合順位のアップを狙って飛び出したヤン・バークランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)らを利用するクレバーさを見せます。

 

最後は予想通りスプリンターによる競演。

現時点でNo.1スプリンターであることは間違いないグライペルが余裕の勝利。

他のスプリンターに付け入る隙を与えませんでした。

 

総合はジェランスが守りきり、2006年以来2回目のチャンピオンに。

チームはステージ優勝こそ無かったものの、オーストラリア国民の期待に応える最高の走りを見せました。

 

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【総合成績】

1.サイモン・ジェランス(オーストラリア、グリーンエッジ) 20:46:12

2.アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) s.t.

3.ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック・ニッサン) +8″

4.マイケル・ロジャース(オーストラリア、スカイ) +14″

5.ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア) s.t.

6.ヤン・バークランツ(ベルギー、レディオシャック・ニッサン) +16″

7.エドヴァルド・ボアッソン・ハーゲン(ノルウェー、スカイ) +18″

8.ハビエル・モレーノ(スペイン、モビスター) +23″

9.マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク) +29″

10.エドゥアルド・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ) +32″

 

●山岳賞

ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア) 29pt

 

●ポイント賞

エドゥアルド・ボアッソン・ハーゲン(ノルウェー、スカイ) 56pt

 

●ヤングライダー賞

ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア) 20:46:20

 

【戦評】

コースレイアウトの変更で、これまでのスプリンターによる総合争いからパンチャーやクライマーによるものに変わると見られていた今大会。

予想通り、オールドウィランガヒルの頂上にゴールが設けられた第5ステージで大きく動くことになりました。

そのステージで優勝を争ったジェランス、バルベルデの2人が結果的に総合でも1位と2位を分け合う結果に。

 

総合優勝のジェランスは、シーズンイン早々のオーストラリア選手権とこのTdUを狙って調整していたこともあり、チーム内、そしてプロトン内でもコンディションが一歩上をいっていると見えました。

上りスプリントとなった第2ステージ、バルベルデとの争いとなった第5ステージで見せたキレのある動きは、自国で誕生した新チームでの今後の大飛躍を予感させるものと言えるでしょう。

 

総合2位のバルベルデ。

破竹の勢いで勝利を量産している時期での出場停止だったため、復帰後の走りに注目が集まりましたが、力が衰えていないことを実証する第5ステージでの勝利でした。

短めの急坂ではパンチャーと渡り合えるスピードを、山岳ではクライマーとのマッチアップも悠々こなせるだけに、グランツールをメインにステージレースで再び数々の勝利を収める可能性がありそう。

TTに課題があるとはいえ、ツール・ド・フランスの優勝候補の1人に加わったと見ても良いでしょう。

 

スプリンターでは、やはりグライペルの存在が際立っていました。

HTC・ハイロード時代からリードアウトを担ってきたシーベルグ、レイネスに、今シーズンから加わったヘンダーソンが発射台を担当することで、グライペルの加速力が大きく活きる形に。

自ら勝負できるだけのスピードを持つヘンダーソンからグライペルへのスプリントは、他チームへの脅威となるのは確実。

アルカンシェルのカヴェンディッシュ(スカイ)、新鋭のキッテル(プロジェクト1t4i)との勝負が楽しみになりました。

ちなみに、カヴェンディッシュとはツアー・オブ・カタールで激突する可能性が高まっています。

 

その他、総合5位に入ったデニス、6位のバークランツ、10位ヴォルガノフ、11位のジャック・バウアー(ニュージーランド、ガーミン・バラクーダ)といった選手たちも今後に期待を持たせる結果を残しました。

アンダーカテゴリーでの活動が基本となるデニスがプロレベルでも十分通用することを見せられたのは、オーストラリア自転車界にとってさらなる朗報となったことでしょう。

 

スプリンターのアシストから序盤での逃げにいたるまで、さまざまな形でチームに貢献した宮澤選手はこの大会初の日本人出場者となり、無事完走。

第1ステージでの落車の影響が大きかったとはいえ、これまでの経験に裏打ちされた堅実な走りは若い選手たちの良いお手本となりそうです。

 

サントス・ツアー・ダウンアンダーオフィシャルサイト http://www.tourdownunder.com.au/

 

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