春のクラシックが一段落し、UCIワールドツアーはステージレースへとシフトしていきます。
5月のジロ・デ・イタリアの最終調整として、または6月末スタートのツール・ド・フランスでの活躍を目論む選手たちが揃うのが、ツール・ド・ロマンディ。
年々大会としてのステータスが上がっているこのレース、今年はどのような展開が待ち受けているでしょうか。
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ツール・ド・ロマンディ-4月24-29日
【過去の総合優勝者】
2011年 カデル・エバンス
2010年 サイモン・スピラック
2009年 ローマン・クロイツィゲル
2008年 アンドレアス・クレーデン
2007年 トーマス・デッケル
【コース分析】
●プロローグ(Lausanne、3.34kmTT)-4月24日
●第1ステージ(Morges~La Chaux・de・Fonds、184.5km)-4月25日
●第2ステージ(Montbeliard〔Fr〕-Moutier、149.1km)-4月26日
●第3ステージ(La Newveville~Charmey、157.6km)-4月27日
●第4ステージ(Bulle~Sion、184.0km)-4月28日
●第5ステージ(Crans・Montana~Crans・Montana、16.5kmTT)-4月29日
今年もプロローグで開幕。
テクニカルな設定のコースをハイスピードで選手たちはこなしていきます。
予想では、優勝者の平均時速が60km/h超とのこと。
第1ステージは比較的スプリンター有利か。
ポイントはゴールまで残り11kmで迎える3級山岳。
また、そこをクリアしてもカテゴリー外の上りが控えており、スプリンターチームにとってはコントロールが難しくなるのは間違いないでしょう。
同様に、第2ステージもスプリンター向き。
残り30kmを切ったところに登場する2級山岳で生き残り、または下りで追いつければゴールで勝負ができそう。
ただしレース距離が短く、ハイスピードな展開となればピュアスプリンターにとっては苦しいレースになる可能性も。
第3ステージから本格的な総合争いがスタート。
ゴール地Charmeyに向かって約6kmの上りで上位候補が絞られてくることでしょう。
今大会のクイーンステージは第4ステージ。
1級山岳が3つ設定され、レース後半に2級、1級、1級の山岳が連続して登場。
最後の1級山岳を通過すると、約14kmのダウンヒル。
テクニカルな下りで勝負を仕掛ける選手が出てくるか。
下り終えてからゴールまでの約10kmはフラットであることから、翌日に控えるTTで勝負したい選手にとっては下りで引き離されることなく生き残ることが重要。
そして締めくくりは16.5kmのTT。
中盤に1級山岳が含まれ、TTスペシャリストよりも登坂力に長けた選手に有利なコース設定か。
いずれにせよ、最終ステージまで総合争いは僅差の勝負になるでしょう。
【注目選手】
ライダータイプ別に、押さえておきたい選手を独断でピックアップします。
スタートリストは公式サイト、またはCycling Feverから。
●総合系
カデル・エバンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) ←ディフェンディングチャンピオン
ティジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシングチーム)
イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ)
サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) ←2010年チャンピオン
ローマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) ←2009年チャンピオン
フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)
ケヴィン・シールドライエルス(ベルギー、アスタナ)
ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)
ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、SKY)
リッチー・ポート(オーストラリア、SKY)
マイケル・ロジャース(オーストラリア、SKY)
クリストファー・フルーム(イギリス、SKY)
アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・ニッサン) ←2008年総合優勝
ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レディオシャック・ニッサン)
ルイス・レオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)
バウク・モレッマ(オランダ、ラボバンク)
ファン・ホセ・コーボ(スペイン、モビスター)
リューウェ・ウェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・バラクーダ)
ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)
ジャン・クリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディール)
リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディール)
ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディール)
ダニエル・ナバーロ(スペイン、サクソバンク)
ピエール・ローラン(フランス、ユーロップカー)
ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)
●スプリンター
アラン・デイヴィス(オーストラリア、グリーンエッジ)
リー・ハワード(オーストラリア、グリーンエッジ)
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、SKY)
マイケル・マシューズ(オーストラリア、ラボバンク)
ジャンニ・メールスマン(ベルギー、ロット・ベリソル)
ダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ISD)
マヌエレ・ベレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル・ラモンディール)
●その他
ミハエル・クウィアトコウスキ(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
ベルト・グラブシュ(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
パーヴェル・ブルット(ロシア、カチューシャ) ←2011年ステージ1勝
パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)
ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ)
別府史之(日本、グリーンエッジ)
ダリル・インピー(南アフリカ、グリーンエッジ)
ジェラント・トーマス(イギリス、SKY)
オリバー・ザウグ(スイス、レディオシャック・ニッサン)
ヨナタン・カストロヴィエホ(スペイン、モビスター) ←2011年ステージ1勝
グスタフ・エリック・ラーション(スウェーデン、ヴァカンソレイユ・DCM)
トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
アレックス・ラスムッセン(デンマーク、ガーミン・バラクーダ)
デヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) ←2011年ステージ1勝
ジェレミー・ロワ(フランス、FDJ・ビッグマット)
マヌエレ・ボアロ(イタリア、サクソバンク)
クリス・アンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク) ←2011年山岳賞
ジョナサン・イヴェール(フランス、ソール・ソジャサン)
間近に迫ったジロの調整と、その先のツールを見据えたプログラムの一環として出場する選手とに大きく分けられそうな今回のメンバー。
どちらかというと、ツール組が多いかもしれません。
ディフェンディングチャンピオンであるエバンスは体調不良もあり、アムステル・ゴールドレース以外のアルデンヌクラシックを回避。
ロマンディの2連覇を狙ってのクラシック回避とあって、どれだけ調子を取り戻せているかに注目。
本来の調子であれば、今回のコースレイアウトは問題なし。
難なく山岳をこなし、最終TTで決められるはずですが、それも体調の回復次第。
状態いかんではヴァンガーデレン、モラビートらにエースの座が回ってくる可能性も
ほぼツールシフトと見て良さそうなのがSKY。
今回もウィギンスの総合優勝と、カヴェンディッシュのスプリント勝利を狙ってくるでしょう。
ウィギンスは総合優勝した3月のパリ~ニースで、登板力だけでなく上りでのアタックやスプリントでも強さを発揮。
このロマンディのコース設定的にパリ~ニースに近く、開幕と最終ステージにTTなのも追い風。
ポート、ロジャース、フルームと、他チームであればエース格の選手を従え、万全の体制で臨みます。
また、カヴェンディッシュは前半ステージで結果を残せるか。
発射台を務めるトーマスが合流したのもカヴェンディッシュには心強い。
アスタナはアルデンヌでの活躍に続けるか。
エース・クロイツィゲルは、先のジロ・デル・トレンティーノでもまずまずの走り。
ジロを控え、ここでの総合狙いは避ける公算が高そうですが、良いイメージでレースを終えたいところ。
こちらもツールを見据えたメンバー構成のカチューシャ。
メンショフには今回もいぶし銀の走りを期待。
抜群の安定感で、総合争いに顔を覗かせるでしょう。
また、2010年チャンピオンでミドルツールでは総合上位常連に成長したスピラックは、相性の良いレースで再び結果を残したいところ。
アルデンヌで活躍のモレッマにも注目。
TTレベルが向上し、山岳での走りだけでないところを今年はアピールしてきました。
一発のパンチ力もあり、ライバルたちの隙を突いて勝利をつかむ可能性もあるでしょう。
ジロに向けて不安材料が多いバッソは、ここで状況打破できるか。
ロマンディでの走り次第ではジロ欠場も示唆しており、何としても一定の結果を残したい。
マーティン、ヘシェダルと、アルデンヌで好走した2人を擁するガーミン勢も高いチーム力。
今年はスロースタートのブエルタチャンピオン・コーボもそろそろエンジンがかかり始めるか。
2008年チャンピオンのクレーデンと、怪我明けのフグルサングの2枚看板で臨むレディオシャック・ニッサンも強力です。
スプリンターには厳しいコースとはいえ、カテゴリー山岳を耐え抜けばチャンスあり。
前記のカヴェンディッシュを筆頭に、マシューズやデイヴィス、パリ~ニースステージ1勝のメールスマンらにチャンスがありそう。
TTでは、クウィアトコウスキやダーブリッジ、ラーションあたりに注目。
前回のプロローグ勝者であるカストロヴィエホも参戦しており、TT巧者が最初にリーダージャージを着ることになるか。
ジロ出場が発表された別府選手も参戦。
チームとしてもステージ狙いのオーダーとなる可能性が高いだけに、逃げや展開次第ではスプリントに絡むことになるか。
レースをコントロールする必要がない分、勝負どころまで脚を温存しながら好位置で最終局面を迎えられれば十分にチャンスはあるでしょう。
【総合優勝予想】
ブラッドリー・ウィギンス
ツール・ド・ロマンディオフィシャルサイト
ツール・ド・ロマンディiTunes App
http://itunes.apple.com/jp/app/tour-de-romandie/id431213023?mt=8
ツール・ド・ロマンディ-Review « suke's cycling world
5月 01, 2012 @ 18:01:40